【芸術的バレエ漫画「昴」の評価と感想】あらすじは?ネタバレあり




バレエ漫画の中でも評価の高い「(スバル)」。
長年わたしたちを魅了するのはなぜなのでしょうか?

子どもの頃夢中で読んだ「昴」を、大人になって改めて読み返してみた感想です。

バレエを題材にした漫画『昴』。作者は誰?

昴は、ビックコミックスピリッツにて2000年~2002年までに連載されたバレエ漫画です。
作者は曽田正人さん

この漫画を描いたきっかけは世界的に有名なシルヴィ・ギエムの存在を知ったからだそう。

2009年には、黒木メイサさん主演で映画化され、バレエファン以外からの評価も高い漫画であると言えます。

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昴のあらすじ

主人公の少女、宮本すばるは脳腫瘍で闘病中の双子の弟を元気づけるため、自作の猫のダンスを踊るのが日課になっていました。

しかしその猫のダンスは、すばるが踊りを楽しむためだけではなく、弟の命を少しでも長くつなげるためのもの

もはや義務感で、「踊らなくては」と駆り出される衝動からくるものでした。

そんなすばるの踊りを見ていた友人が、バレエを習うように誘います。
それがすばるのバレエ人生の始まりです。

すばるの人生は決して明るい希望に満ちたものではなく、苦悩の連続。
ただすばるのバレエは、物理的な法則破りでありながら、人々を驚かせ感動させるものでした。

いくつも舞台を変えながら、すばるが芸術家として成功していく様を描いた大人向けの内容となっています。

昴の感想。わたしの印象に残ったシーンとは?

  1. 猫のダンス
  2. 路上でバレエ踊る


猫のダンス

最も記憶に残っているシーンは、やはり猫のダンスを踊るすばるです。

最初に登場する、生前の弟の前でのダンスシーンよりも、回想シーンでの昴の表情がものすごく鮮烈に記憶に残ります。

ダンスのシーンでありながらも、すばるが何を考えて踊っているのか、当時の記憶がすばるにとってどんな影響を与えているのか。

そこまでを「猫のダンス」というとても抽象的な表現で描き出されていると感じます。

当時はまだバレエを習う前で、自作のでたらめな踊り。
やはりそこにすばるの内面が凝縮されて描かれているということなのでしょう。

路上でバレエを踊る

また、バレエ経験者としてとても興味深かったシーンがもうひとつ。

すばるがシステロン・バレエ・カンパニーの仲間とともに、路上でバレエを踊るシーンです。

刑務所の慰問公演を前に、「バレエに関心のない人」の前で踊ってみることで、大衆の心を動かす方法について学ぶことができたシステロン・バレエ・カンパニーのメンバーたち。

私がバレエを経験してきて常に思っていたことのひとつに、共感を得られる人の少なさがありました。

バレエに全く関心のない人の前で、全力の踊りを見せたらどのような反応が返ってくるのか…。
これはとても興味深いものです。

実際、その人の表現力によってはかなりの称賛を得られるものだとも思っています。

バレエに対する世間のイメージと、実際の生のバレエの印象には大きな差があると思っています。

その長年の思いに気付き、ハッとさせられるシーンでした。
これはすばるたちが、刑務所の慰問公演で受刑者たちの心を激しく揺さぶるシーンに繋がっています。

実際に、刑務所での慰問公演や路上でのパフォーマンスは、海外ではしばしば行われています。

2012年に、ローザンヌ国際バレエコンクールで優勝をおさめた、菅井円加さんのドキュメンタリーで放映されていたのを思い出します。
純粋に楽しそうだし、私も一度経験してみたいものです。

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漫画「昴」の最大の見どころはどこ?

この漫画の最大の魅力というのは、実はバレエ云々ではないのだと思います。

そもそも、実際にバレエ業界ではありえない展開が多いのでツッコミどころは満載だという評価も多いです。

事実わたしもそう思います。
つまり、この漫画の重要な要素はそこではないのです。

私は、主人公の抱える「心の闇」がテーマになっていると考えます。

すばるは、幼少期に最愛の弟を亡くしていますが、その弟のために踊っていたダンスがバレエを始めるきっかけとなります。

その後バレエを踊ることで母親から冷たくされたり、自分への関心を失ったりという過去の「トラウマ」が彼女を突き動かします。

そしてバレエの世界にどっぷりと浸かっていくわけです。

バレエを追求することが、自分が生きている証であるというすばるの生きざまは、アダルトチルドレンなどの問題にも関わってくる内容だと感じています。

そのため、万人に受け入れられる内容ではないかもしれませんが、話の展開的には、目を見張るものがあり、面白いと感じる人も多いでしょう。

挫折を経験した人や、大きなトラウマによって日々悩んでいる人など、繊細な感性を持っている人にはより大きく評価されると思います。

また、バレエはテクニックももちろん重要ですが、それ以上に観客を魅了するのは表現力です。

顔の表情や手足の繊細な動かし方で、その作品の登場人物や踊りのテーマを表現するもの。
スポーツではなく、芸術です。

その点で、この昴という漫画は舞台に立つすべての人にオススメできる漫画だと思っています。

感性・感覚・感情という、実に曖昧なものをとても鋭く、分かりやすく表現している漫画です。
俳優や歌手・ダンサーと、様々なジャンルの舞台人に感銘を与えるでしょう。


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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは、ミキコです。 小学1年生〜高校2年生までバレエを習っていました。 一旦はやめたものの20代半ばで再開し、今は週3回レッスンを受けています。 バレエの面白さをもっと知ってもらうために、このブログを書いています。