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[voice icon=”http://ballet-ambre.com/wp-content/uploads/2017/10/mikiko.jpg” name=”ミキコ” type=”r icon_red”]今回は、2006年のフランス映画「オーロラ」を紹介しますね。[/voice] [voice icon=”http://ballet-ambre.com/wp-content/uploads/2017/09/kohaku.jpg” name=”いろは” type=”l icon_yellow”]マルゴ・シャトリエが清楚でかわいい^^[/voice]
■目次
「オーロラ」映画の感想とあらすじ
この映画は、バレエ劇であるのに、国王の命令でバレエが禁止されている国が舞台となっています。
ですが、皮肉なことに国王の娘のオーロラ姫は、類いまれな踊りの才能を持っているという、最初から不幸なオーラが立ち込めた設定になっています。
主役のマルゴ・シャトリエが妖精のように美しく可愛らしい女性です。
彼女がいるだけでその場が浄化するような澄んだ空気を身にまとっていて、観ていてとても心地がいいのです。
ストーリーは、複数の求婚者が現れすところやラストシーンに天に舞い上がるところなど、フランス版かぐや姫といった雰囲気もあります。
おとぎ話風な奇想天外なところもありつつ、その反面、国の財政が破産寸前であったり、その立て直しとして増税や他国との戦争や政略結婚といった案が出されているところなど、社会性も織り込んだ内容です。
今の日本もとんでもない赤字を抱えていますし、歴史を紐解けば政略結婚も公然と行われていましたので、簡単に類似点は見出せます。
オーロラ姫と3人の王子のお見合い【政略結婚】
物語の方では、国王は苦肉の策として、オーロラ姫を裕福な異国の王子3人とお見合させようと企画します。
でも費用が限られているので舞踏会を開くのは3回だけという制限があるのは、ちょっとしたリアル感が出ていて面白みがあります。
お見合い写真代わりの肖像画が必要になり、急遽画家を招き入れますが、この青年と恋に落ちるのですから人生は何が起こるかわかりません。
そんな気持ちをよそに、とうとう舞踏会は開催されます。
日本を意識した?ジパンゴ王国の王子の踊りが・・・
姫に本当の主旨は知らせないまま、王子達と引き合わし、それぞれ求婚の踊りを披露するのですが、その中に明らかに日本を意識したジパンゴ王国という名の国があります。
その王子の役を、振付師としても有名な竹井豊が演じていらっしゃるのですが、この踊りがとにかく気持ち悪くて仕方がありません。
この振り付けをご自身でされたのではないと信じたいです。
前衛的というには不気味さの方が勝っていて、場をどんどん気まずくさせる奇妙さがありました。
もっと、歌舞伎や能などの日本独自の芸術を取り入れた斬新な踊りを期待した分、とても残念でした。
しかも人柄もあまり好感は持てません。
テレビで海外ドラマを観ていると、たまに端役で登場する日本人が拝金主義な悪人風に描かれていて、がっかりすることがあるのですが、この王子もお金をちらつかせたり、良妻賢母を求めたり、姫でなくても受け入れがたいです人物でした。
思いおこすたび、苦々しさを感じます。
大失敗に終わったお見合い
かくしてお見合い舞踏会は大失敗に終わります。
なけなしのお金をはたき、一縷の希望を託して開催したのですから落胆ぶりはできます。
このころ、国王がダンスを禁止していた理由がやっとわかるのですが、それは王妃のためでした。
その昔、踊りの名手だった彼女は王室に入る際、踊りを捨てなければならず、王妃を気遣ってできた法律でした。
でもこの法律のせいで、母の才能を存分に受け継いだ姫が、庭でコソコソ隠れて踊ることになったのですし、市民にも多大な影響があったことを思えば、こんな公私混同は許し難いです。
[voice icon=”http://ballet-ambre.com/wp-content/uploads/2017/10/mikiko.jpg” name=”ミキコ” type=”r icon_red”]ここでふと「小選挙区で落選した人が比例で平然と復活当選する、今の日本の選挙制度と個人的にどっちが許せないだろう」という考えが浮かびましたが、すぐに前者の方が、まだ心情的に理解ができると結論が出ました。[/voice]天上で結ばれた二人と、たった一人残された孤独な国王
さて、物語は姫が恋人の存在を公言したため国王の怒りをかい、画家は投獄され、逃亡し、なんと死んでしまうのです。
彼は普通の容姿でしたので、姫はその人柄や才能に強く惹かれたのかもしれません。
生きていれば、きっと素晴らしいパートナーになっていただろうと思うと残念です。
悲しむ姫は、以前助けた鳥の妖精の案内で雲の上へフワリフワリ浮き上がります。
この空中浮遊は、きっと今は亡き王妃からもらったネックレスが作用していると思うのですが、実に気持ちよさそうです。
やがて白い雲の上で、亡くなった恋人と再会し、仲良く幸せそうに踊ります。
この画家役のニコラ・ル・リッシュはパリ・オペラ座バレエ団のエトワールなので、卓越した技術を存分に披露し魅せてくれます。
この世では結ばれなかった二人なので、ハッピーエンドなラストとは言えませんが、あまり物悲しさは感じません。
気になるのは、たった一人残された孤独な国王のことです。
愛する王妃には先立たれ、娘は雲の上へ嫁に行ったまま戻ることはありませんし、息子は自分の国を作ると出て行ってしまいます。
家族は離散し、残されたのは財政困難に陥ったままのこの国だけ。
国民になるべく負担をかけたくないと考えている国王でしたが、頼みの綱の政略結婚がダメになってしまったので、やむおえず増税に踏み切ってしまうのでしょうか。
その後の舵取りが気になります。
願わくば、当面の問題が解決し、美しかった妻を偲びながら幸せな余生を送ってほしいですね。