ダンシング・ベートーヴェンの感想を書いてみました。




いろは
ダンシング・ベートーヴェンのDVDを観たので感想を書いてみました。
ミキコ
ひとつのバレエ公演が一から創り上げられる過程を目の当たりにできてとても興味深いですよ。

映画「ダンシング・ベートーヴェン」のあらすじ

ダンシング・ベートーヴェン 」は、2017年の12月22日に劇場公開されたアランチャ・アギーレ監督によるドキュメンタリー映画です。

監督は2009年の「ベジャール、そしてバレエはつづく」など、数多くのバレエ映画やドキュメンタリー作品の監督や脚本を手掛けている映像作家になります。

ベートーヴェンが作曲した伝説的な舞台劇を、カリスマ性溢れるモーリス・ベジャールが振り付けをして「第九交響曲」が完成しました。

その東京公演の大盛況と知られていない舞台裏が、丹念なリサーチと密着取材によって映し出されていきます。

ひとつのバレエ公演が如何にして数多くのアーティストたちの尽力によって成し遂げられていくかを追っていく、メイキング作品になります。

制作過程と共に、個性豊かな表現者たちが織り成す人間ドラマにも引き込まれていきます。

東京公演ではモーリス・ベジャール・バレエ団ばかりではなく、東京バレエ団も参加しています。
もちろん上野水香さんもです。

文化や表現の違いに戸惑いながらも、それぞれの特徴性を活かしながら世紀の公演へと臨んでいきます。

さらには世界的な指揮者として有名なズービン・メータが率いる、イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団との競演も実現することになりました。

お互いの個性をぶつけ合いながら、これまでのバレエ作品とは全く異なるタイプのテーマにチャレンジしていきます。

「ダンシング・ベートーヴェン」の感想

国境を超えた豪華なラインナップによる、奇跡のハーモニーには胸を打たれました。
厳しいリハーサルを積み重ねていく、世界でもトップクラスのダンサーたちの凛とした表情や研ぎ澄まされた動きに圧倒されます。

メンバーの国籍もフランスだけではなく、スペインやロシアまで実にグローバルな面々です。
那須野圭右や大貫真幹などの、日本人のソリストも選抜されていることには驚かされました。

16歳の頃に初めてベジャールと出会い薫陶を受けた那須野が、バレエへの想いやプライベートでの巨匠との想い出を語る場面には心温まるものがあります。

伝統の重みをしっかりと受け継ぎながらも、多種多様な価値観をすんなりと取り込んでいく柔軟性には共感できました。

一人ひとりがベジャールの元へとたどり着く課程や各々のバックグラウンドを、深く掘り下げていくインタビューも面白かったです。

舞台の上では完璧なパフォーマンスを披露しながらも、ふとした瞬間にポロリと見せる人間味溢れる素顔が微笑ましかったですね。

主役を務めるバレリーナのカテリーナ・シャルキナが、制作途中で突然の妊娠によって戦線離脱してしまうという予想外なハプニングが巻き起こっていきます。

どんなに天才的な才能と超人的な身体能力を秘めたダンサーでも、たったひとりでは舞台立てないという現実を痛感させられます。

バレエは一匹狼の芸術ではなく、チームプレーによって造り上げられていく作品だということを考えさせられました。

ひとり稽古場に籠って別メニューで調整を続けていくプリマバレリーナの後ろ姿には、一抹の寂しさが漂わせています。

孤独感と自分自身の肉体に不安を覚えていた彼女へ、子供の父親となるオスカー・シャコンやその仲間たちが贈った思わぬプレゼントとメッセージにはホロリとさせられました。

さまざまな不安材料やそれぞれの思いを抱きながら、東京公演は幕を開けていきます。
宇宙空間のような広がりを見せる演出が施された舞台上で、生身の人間たちの鍛え上げられた肉体が舞うクライマックスが圧巻でした。


モーリス・ベジャールの教えは受け継がれていくのか?

稀代の振り付け師であるモーリス・ベジャールは、2007年にスイスのローザンヌの病院で世界各国のファンに惜しまれながらこの世を去りました。

ベジャールの遺志と教えを継承して芸術監督となったジル・ロマンを始めとする、残された団員たちの責任の重さとプレッシャーは絶大です。

今は亡きひとりのカリスマの精神が次の世代へと伝わっていくのか消え去ってしまうのか、大きな歴史上の分岐点と言えるのかもしれません。

漠然としたこれからのバレエ界の不安材料を記録しつつ、新しい何かが生まれていくような期待感もたっぷりでした。

2017年の11月に行われた貴重な東京公演を見逃してしまったバレエファンの皆さんには、是非とも鑑賞して頂きたい作品になっています。



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