こんにちは。
今日は新国立劇場バレエ団の小野絢子さんについてご紹介します。
現在は、看板プリンシパルとしてご活躍中の小野さん。
でも実は、子供の頃はぽっちゃり体型で運動神経も良くなかったそうです。
一体、どのようにしてあんなに表現力豊かなバレリーナになられたのでしょうか。
■目次
小野絢子の歩みと主な受賞歴
- 1986年 東京都で生まれる
- 4歳 4歳上のお姉さんに憧れ、バレエを習い始める
- 17歳 プロのバレリーナを目指し始める
- 17~18歳 数度のフランス留学で、パトリック・アルモンに師事
- 18歳 小林紀子バレエシアター入団
- 19歳 新国立劇場バレエ団研修所 入所
- 21歳 新国立劇場バレエ団 ソリストとして入団
- 22歳 『アラジン』で主演デビュー
- 25歳 プリンシパルに昇格
- 現在もなお、新国立劇場バレエ団プリンシパルとして活躍中
主な受賞歴
[aside type=”boader”]- 2004年 アデリン・ジェニー国際バレエコンクール金賞
- 同 年 東京新聞全国舞踊コンクール ジュニア1部銀賞
- 2011年 芸術選奨文部科学大臣新人賞
- 同 年 舞踊批評家協会新人賞
- 2014年 服部智恵子賞
- 2016年 橘秋子賞優秀賞
プロのバレリーナを目指すまでの2回の大きな決断
[aside type=”boader”]- バレエと日舞の両立が困難
- 進路選択
1回目 中学生になり当時習っていたバレエと日舞の両立が難しくなった
片方に絞ることを考えたとき、バレエを選び、レッスンを週4日に増やしたそう。
バレエを選んだ理由は、”友人が多く、みんなで踊れるから”だそうですが、後に小野さんが語ったように、物語の一部になることもまた魅力だったのかもしれません。
2回目 高校の進路選択
自身の進路を考えた際に、プロとしてバレエを続けるか悩んだそう。
ちょうどその頃、学校のプログラムで2ヶ月の短期留学がありました。
留学中、レッスンを受けられない状態でバレエと向き合ったそうです。
結局、シューズなどを手放すことができず、毎日留学先の学校の体育館で自主練を続け、帰国後プロになる決意をしました。
他のプロ志望者よりも少し遅めのスタートとなりましたが、逆にそれが彼女を奮い立たせることになったのです。
小野絢子のレパートリーは?
小野さんは、音楽的に踊ることよりも、ストーリーを重視して踊っています。
そのため、この踊りが得意、ということをあまり明言されていないようです。
ただ、印象に残っている作品として、初主演の『アラジン』と『ロメオとジュリエット』を挙げています。
その他、小野さんが主演された作品は以下の通り。
[aside type=”boader”]
- 『眠れる森の美女』
- 『白鳥の湖』
- 『くるみ割り人形』
- 『ラ・バヤデール』
- 『ジゼル』
- アシュトン版『シンデレラ』
- ビントレー版『カルミナ・ブラーナ』、『パゴダの王子』、『シルヴィア』
- プティ版『こうもり』、『コッペリア』
- フォーキン版『火の鳥』
基本に忠実な踊り
小野さんの踊りは、とても丁寧にパをなぞっている印象を受けます。
基本を大切に、と言われ続けてきたからかもしれません。
また、日舞を習っていたせいか、動きが柔和です。
そのため、正確に踊っても硬い印象になりません。
正確かつ丁寧なのに柔和な印象を与える踊りが、小野さんの魅力の1つです。
向いていないからこそ見せ方にこだわる踊り
小野さんの経歴を見ると分かる通り、プロを目指したのが遅く、コンクール経験も多くありません(※注)。
ローザンヌ国際バレエコンクールのエントリーも、新国立劇場バレエ団研修所の入所も、すべて年齢制限の上限ギリギリでした。
こうした遅れを、ご本人も感じたそうです。
海外のコンクールでは、まだ年若い子たちが、どのバレエ学校に留学したいと言った目標を持ち、堂々とコンクールに挑んでいました。
小野さんがその年齢のときは、まだプロになることなど考えてもいませんでした。
東京新聞全国舞踊コンクールに出たときには、みんな慣れていてさっとリハーサルするのをホケーッと見ていた、そうです。
(それでも、このコンクールでは銀賞を受賞したのですが)
また、小さい頃は「軽度肥満」と言われており、プロを目指し始めてから痩せる、運動神経が悪い、といったバレエには不利に見える要素も持っています。
さらに、身長もバレリーナとしては高くなく、新国立劇場バレエ団の当時の入団規定より1cm足りませんでした。
ソリストで入団できたのも、群舞だと身長が揃わないから、だと小野さん自身は思っているよう。
色々なご自身の弱点を自覚されたからこそ、たどり着いたのが、見せ方へのこだわりです。
「身体能力ではみんなにかなわないけれど、やり方とか見せ方で質を上げていくことはできます」(「バレエジャポン」特別インタビューより)
こうして、技より見せ方を重視し、レッスンを重ねてきました。
また、出遅れたことを焦っても、自分は1個1個しかできない、と周りに流されず着実に自分のペースで向上心を持って取り組んだことも大きいでしょう。
自分を奮い立たせ努力する芯の強さは、『アラジン』で主演した時の言葉にも見られます。
入団直後のオーディションで選ばれた小野さんと共にプリンセスを演じるのは、当時既にプリンシパルとして実績のあった本島美和さんと、湯川麻美子さんでした。
しかし小野さんは、萎縮する暇があったら付いていく努力をする、2人から良いところを盗むという姿勢でレッスンに取り組みました。
伸びやかに変化する踊り
https://youtu.be/60sTygLBsFM
真面目で丁寧な踊り方をする小野さんは、新国立劇場バレエ団の研修所で、「自分が思う小野絢子の枠に収まってしまっている」と指摘され、ハッとしたことがあるそうです。
そのせいか、ジュニア時代の踊りよりも、今の方がずっと伸びやかに踊られています。
見せ方にこだわり、基礎を丁寧になぞりながら、大きく見せる小野さんの踊りは、観る人を非常に惹きつける踊りになりました。
また小野さんは、音楽を表現することより、物語の一部として演じることが好きなのだそう。
自分よりも物語を見て欲しい、という気持ちで、色んな役を演じることを楽しんでいます。
違う役をやったときに、後で気づくぐらい同じ人間だとわからないように演じたいそうです。
実際、作品によってがらりと雰囲気の変わる小野さんの変わり方は、観る人を驚かせます。
特に、『カルミナ・ブラーナ』では、神学生を翻弄する運命の女神フォルトゥナ役は、これまでのイメージを大きく覆しました。
クラシックに見られる清楚で愛らしいイメージとは反対に、愛と欲に翻弄される神学生達を運命の悪戯に引き込み、現代的な振り付けで誘い惑わせました。
ご本人も、自分がこの役に指名されるとは全く予想しておらず、演じるに当たってとても苦労されたそうですが、大きな経験だったと位置付けています。
まとめ
小野絢子さん、いかがでしたでしょうか。
例えプロとしてのスタートが遅くても、向いていない要素があっても、踊ることを愛し、努力してきた小野さん。
彼女の芯の強さと、真面目さが伺えます。
「見せ方」にこだわり、丁寧で伸びやかな踊りと、役を演じ分ける表現力が彼女を看板バレリーナにしています。
今後も新国立劇場バレエ団での主演作が続きます。
それぞれの作品を、小野さんがどう演じていくのか、とっても楽しみですね。
小野絢子関連グッズの紹介
(2025/04/02 08:10:56時点 Amazon調べ-詳細)