「ラ・バヤデール」の初演は、1887年2月ロシアのマリインスキー劇場。
古代インドが舞台のエキゾチックな悲恋物語です。
- 役になりきる
- 技術面
■目次
バリエを踊る際何が1番大事? それは「その役になりきること」
バリエーションの1つだけを踊るのだとしても、その場面を演じ切らなければなりません。ダンサーの表情はとても大切です。
曲の雰囲気や衣装に合っていなければなりません。
例えば、結婚式の場面で、主人公はとても嬉しい気持ちで衣装もすごく華やかなものなのに、踊ってる人の顔はすごく暗くあまり嬉しそうじゃない、となってしまうと、曲の雰囲気や衣装の華やかさがその表情とマッチしていません。
すると、いくら上手に踊れたとしてもあまりキレイに見えないのです。なので、踊る曲がどのような場面で、誰が踊って、そのときどのような気持ちで踊っているのかをしっかり把握しましょう。
ガムザッティのバリエーションの場面は「結婚式」。
古代インドが舞台となっており、領主ドゥグマンタが気に入ったソロルという若き英雄と、王の娘ガムザッティとの結婚の誓いを立てます。
しかし、ソロルには他に愛する女性(ニキヤ)がおり、そのことを知ったガムザッティはニキヤに毒ヘビを送り殺してしまいます。
そして、ニキヤがいなくなり、ガムザッティにとってはこれで問題なくソロルと結婚をすることができると喜びにあふれている場面で踊られるのがガムザッティのバリエーションになります。
このような物語から、この曲を踊るときのガムザッティはとても幸せな気持ちになっていることでしょう。
そして愛する男性とやっと結婚ができるのですから、もちろん笑顔で踊る必要もあります。
また、古代インドの領主の娘なので、高貴さや華やかさを出していきたいですね。
例えば、指先の使い方や、手の上げ下げの仕方など、わずかな手の動きに上品さを出すことによって、気品あふれる華やかさや美しさを表現することができれば、上出来です。
この次でお話しする技術面のところがあまり得意じゃないという場合でも、これらの表現を意識することで美しい踊りに見えるでしょう。
ガムザッティのバリエーションはとにかくジャンプ、ループが多い。
なので、1つでもタイミングがずれるとそれを立て直すのが非常に難しいです。
結婚式の場面で踊る曲にしては、とても珍しい曲調であると思いますが、この曲には華やかさや美しさと同時に強さも感じられます。
グランパドシャを美しく跳びましょう。
例えば、グランパドシャは、高く飛べば飛ぶほど、優雅かつ大胆に見えます。
似たような技としてグランジュテもありますが、グランジュテは前足が1度も曲がらず伸ばしたまま、バットマンをする勢いでそのまま前に跳ぶというイメージです。
グランパドシャは、グランジュテと違い、1度前足を曲げて跳びます。
また、単発で飛ぶわけではなく、ある程度の助走が必要です。
なぜなら、勢いをつけてから跳ぶからです。
よって、グランパドシャを1つするだけで舞台の端から端までを駆け抜けることになります。
駆け抜けるためには、その前に端まで移動しなければなりません。
グランパドシャを何度かするようなバリエーションの場合、この繰り返しになるため、舞台上を行ったりきたりします。
そのため体力の消耗も激しく、最後の方はヘロヘロになって跳ぶことも多くなります。
すると、だんだんジャンプの高さがなくなっていってしまいます。
体力の温存もこの曲には重要です。
脚の位置に気をつけて
また、脚を1度曲げてから飛ぶため、1番高い位置になったとき、前脚が曲がったままになってしまいがちというのとあります。
後ろ脚は踏切をするためどうしても曲げた状態から跳ぶため、下手すると両脚曲がったままで最高点をむかえてしまうこともあります。
そうなると、せっかく美しく華やかで大胆なイメージを象徴とするグランパドシャがすごく汚く見えてしまいますので、脚を伸ばすことを意識することも重要。
そして、これはグランパドシャの最大のポイントですが、最高点に到達したとき、両脚が180°以上開いている必要があります。
脚が開いていないとどうしても小ぶりに見えてしまうので、日頃から柔軟をしっかりして空中で180°開けるようになっておきましょう。
ジャンプの助走一つにしても頭のてっぺんからつま先まで意識を集中させることが肝心なので、精神的にも体力的にも非常にハードな曲といえます。
最大の難点は「タイミング」。
ジャンプ一つ一つに適切な瞬間があり、それらを丁寧に曲に合わせて踊っていくためにはタイミングをしっかり掴むことが重要です。
1つずれてしまうどズルズルと全部ずれてしまいます。
実際に跳ばなくても、身振り手振りだけでタイミングをとる練習なども効果的でしょう。
また怪我をする可能性が非常に高い曲なので、ジャンプの練習をする際は周りの安全確保をしっかりして本番を迎えられるようにしましょう。
【まとめ】グランパドシャで大切なこと
- 高く飛ぶ
- 両脚を180度以上開いて飛ぶ
- ジャンプのタイミングをしっかりとつかむ