面白かった(*^^*)
もっと堅苦しくて読みにくい本かと思ってたけれど、イラストがたくさんあってスラスラ読めたよ。[/voice]
[voice icon=”http://ballet-ambre.com/wp-content/uploads/2017/10/mikiko.jpg” name=”ミキコ” type=”r icon_red”]バレエの奥深さをより感じられる本よね。
わたしも皆にオススメしたいな。[/voice]
■目次
著者について
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2014年6月に芳賀直子によって、世界文化社から刊行されているバレエ史研究書です。
著者は舞踏評論家としてバレエにまつわる歴史を研究していて、新国立劇場では講義も受け持っています。
薄井憲二のバレエ・コレクション創立にも深く携わり、学芸員も務めました。
展覧会のプロデュースを担当することもあります。
ミキモトホールやニューオータニ美術館に代表されるような伝統と格式のある場で開催された美術史展を成功へと導いてきました。
本作品はそんな著者によるバレエへの造詣の深さと、ひとりの愛好家としての思い入れが込められている1冊です。
イタリアで誕生したバレエ
ルネッサンス時代のイタリアにおける宮廷舞踏から端を発した、バレエ誕生秘話を垣間見ることができます。
フィレンツェの名門貴族出身であるカトリーヌ・ド・メディシスが、1573年にポーランドからやって来た賓客をもてなすために上演されたのが「ポーランドのバレエ」です。
この時に歴史上で初めて「バレエ」という言葉が使われますが、当時は上演時間が3時間を超えることは当たり前のことで、中には10時間に迫る作品もあったというから驚きですね。
王宮の敷地内が舞台となるダイナミックなイベントになり、噴水やからくり仕掛けまで用意されています。
クライマックスでは観客全員が壇上に上がって、出演者と一緒に踊り明かしたというエピソードも微笑ましかったです。
バレエはフランスで発展した
イタリアで最盛期を迎えていた芸術と文化をフランスへと持ち込んだのも、カトリーヌ・ド・メディシスです。
フランスといえば今でも多くの人たちが、美味しい料理と美しいスイーツを思い浮かべるでしょう。
食文化と共に伝わったのが、洗練された礼儀作法であり黎明期におけるバレエでした。
やがてはブルボン朝3代のフランス国王であり、無類のバレエ好きとしても有名なルイ14世の庇護の下で独自に発展していきます。
ルイ14世の肖像画を見てみると、いずれもスラリとした脚を自慢しているかのような佇まいが印象深いです。
若干5歳にして王位を継承しながらも政治的な実権は親族や大臣に掌握されていたという、その数奇な運命にも想いを巡らせてしまいました。
ロシアへと受け継がれていく
フランスを中心として今日のバレエの基礎が築き上げられていく中でも、その活動の拠点はロシアへと移行していきます。
ロシア帝室バレエの創立者であるマリウス・プティパは、もともとフランスのバレエ一家の出身です。
男性バレエダンサーとしての立身出世を夢見ていましたが、ヨーロッパにおけるロマンティックバレエの衰退期に当たり活躍の場が見つかりません。
新天地を求めてマリウスが辿り着いた先は、ロシア屈指の西洋文化の窓口となっていたサンクトペテルブルクでした。
「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」を始めとする誰しもが知るクラシックバレエの名作を、異国の地で次々と生み出していく姿がエネルギッシュですね。
世界各国へと広がっていく
画像引用:ウィキペディア
1929年にロシア・バレエ団を牽引してきたセルゲイ・ディアギレフがこの世を去ると共に、ロシアンバレエも衰え始めていきます。
ディアギレフを超える興行主は、21世紀となった今現在でも出現していないのが現状です。
その一方でセルゲイの突然の死は、英国ロイヤル・バレエ団やニューヨーク・シティ・バレエ団などの旗揚げのきっかけになりました。
ドイツ人のダンサーであるピナ・パウシュや、南アフリカの振り付け師・ジョン・クランコの台頭など実に多種多様になります。
新しい価値観を柔軟に受け入れつつ、貪欲に進化していくのがバレエの魅力なのかもしれません。
過去のバレエを見つめることで現在・未来を見つめる
この本はただ単に年号と固有名詞を丸暗記するために書かれているものではありません。
バレエの面白さとその成り立ちの奥深さを知ることによって、より一層興味が湧いてくるでしょう。
大恐慌や戦争の勃発などの世界史の流れが、バレエに与えた影響も絶大でした。
それぞれの時代に突如として現れて、革命を成し遂げた偉人たちの功績にも忘れがたいものがあります。
豊富なイラストに時代ごとに区分けされた分かりやすい解説付きで、入門書としても観劇のお供にもぴったりです。
今現在バレエ史を学んでいる方たちばかりでなく、舞台芸術やファッションに関心のある方にもオススメ。
是非とも本書を手に取ってくださいね^^