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【バレエドンキホーテ】あらすじや見どころを解説。動画あり




ドン・キホーテはもともと、スペインで作られたベストセラー小説です。

原作は主人公のアロンソ・キハーノ(ドン・キホーテの本名)という男の話ですが、バレエでは後半に出会う女性にスポットを当てて、アレンジして仕上げています。

スペインらしい勢いと華やかさがあり、踊るには技術力を必要とされます。
情熱的でエネルギッシュな物語、バレエの演目の中でも人気の高い作品のひとつです。

■目次

小説が原作になった作品

「ドン・キホーテ」は、ミゲル・デ・セルバンテスの小説を元にしたバレエ作品です。

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バレエ以外にも、オペラや芝居、ミュージカル(※)、映画など様々な芸術分野で展開されています。

バレエ作品としては、1869年にボリショイ劇場で初めて上演されました。

「ドン・キホーテ」は、とても長い小説なので、バレエでは主人公のドン・キホーテが立ち寄ったある村の話を抜粋しています。

このバレエ版では、ドン・キホーテを主人公とせず、物語の舞台となった村の若い男女の恋物語がメインであることが特徴です。

バレエ版の制作にあたり、作曲家レオン・ミンクスと振付家マリウス・プティパという、当時のロシアで名高い2人がタッグを組んでいます。

※芝居やミュージカル
「ラ・マンチャの男」というタイトルで上演されています。

日本では9代目松本幸四郎さん主演のミュージカルが有名です。

2008年には、通算上演回数が1100回に達し、1つのミュージカル作品を同じ俳優が単独主演する国内の最多上演記録を更新しました。

なお、この記録は、その後堂本光一さん主演の「SHOCK」が塗り替えています(SHOCKの通算上演回数は1560回;2017年11月現在)。



バレエ「ドン・キホーテ」あらすじ

プロローグ

書斎で騎士小説を読みふけっていたアロンソ・キハーノは、自分が本の中の主人公「ドン・キホーテ」であると思い込んでしまいます。

物語に夢中になりすぎたため、彼は物語と現実との区別がつかなくなっていくのです。

そして彼は、農民であるサンチョ・パンサをお供に従えて、物語の中に登場した「ドルシネア姫」を探し求めて旅に出ることに。
馬にまたがり旅をしているドン・キホーテとサンチョ・パンサ

第1幕

場面はスペインの市場。
この村の宿屋の看板娘キトリは、町1番の美人。

そんなキトリには、バジルという恋人がいます。

しかし父親のロレンソは、キトリと金持ちの貴族ガマーシュとの結婚を望み、バジルとの交際を認めません。

ロレンソは、キトリとバジルを離れさせようとしますが、2人は猛反発。
意にそぐわぬ結婚をするくらいなら…と駆け落ちをもくろみます。

そんな中、活気付く市場に突然、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの2人がやってきます。
風貌の変わった彼らの登場に、町の人はびっくり。

そして、ドン・キホーテは、キトリを一目見ると、探していたドルシネア姫だと思い込んでしまいます。

ドン・キホーテやサンチョ・パンサも加わり、町の人たちは楽しく踊ったり、おしゃべりをしたり賑やかになります。

町が騒がしくなったところで、どさくさに紛れてキトリとバジルはふたりで逃げ出します。

それに気付いたドン・キホーテとサンチョ・パンサ、またロレンソとガマーシュがこぞって、ふたりを追いかけて行くところで幕が閉じます。

第2幕・第1場

ドン・キホーテは旅を続け、ジプシーの野営地に到着します。
そこでは、ジプシーたちによる踊りや人形劇が披露されていました。

ジプシーたちはキトリとバジルが駆け落ちしてきたことを知ると、ジプシーダンスを踊り歓迎します。

しかしそこに、2人を追いかけて、ドン・キホーテとサンチョ・パンサがやってきました。

ドン・キホーテは、キトリのことをまだドルシネア姫であると思い込んでおり、物語の中に入り込んでしまった状態。

ジプシーたち繰り広げる人形劇を、本物の戦いだと勘違いし、舞台に乱入してしまいます。

人形劇をめちゃくちゃにしたドン・キホーテは、今度は近くにあった風車を悪しき巨人だと思い込みます。
風車興奮して風車によじ登りますが、羽に引っかかり地面に落下。
そのまま気を失ってしまいます。

第2幕・第2場

ドルシネア姫ドン・キホーテは、夢を見ています
森に迷い込むと、たくさんの妖精たちに囲まれる不思議な体験をします。

ここで登場するのは、妖精たちとキューピットたち、そしてドルシネア姫です。
キューピットたち これまでの場面とは全く違う、神秘的な場面。
ドン・キホーテは憧れのドルシネア姫に出会って、感極まります。
しかし、そんな夢も長くは続かず、すぐに現実に引き戻されてしまうのです。

第2幕・第3場

キトリとバジル駆け落ちをして逃げてきたキトリとバジル、今度は馴染みの居酒屋に隠れています。

しかしすぐに追手はやってきて、ロレンソやドン・キホーテたちに見つかってしまうのです。

とうとう逃げ場のなくなった2人は、バジルが狂言自殺をすることで、強引に結婚を認めさせようとたくらみます。

バジルは自分の腹をナイフで刺したふりをして倒れ、キトリもそれに調子を合わせて悲しんだふりをするのでした。

不憫に思ったドン・キホーテがキトリの父を説得し、ふたりはやっと結婚の許しをもらいます。

すると、死んだふりをしていたバジルが起き上がり、自殺は嘘だったことを暴露。
バジルとキトリは大喜びします。

結婚を許したことをキトリの父は後悔しますが、もう後の祭りです。

3幕

キトリとバジルの結婚式キトリとバジルは、盛大な結婚式を挙げます。
華やかな踊りが次々に披露され、もちろんドン・キホーテとサンチョ・パンサも加わります。

それを見届けたドン・キホーテとサンチョ・パンサは、またも物語やドゥルシネア姫を探して冒険の旅に出るのでした。


物語の設定が身近なドン・キホーテ

ドン・キホーテの2幕わたしはドン・キホーテがバレエの演目の中で1番好きです。
理由は「人間味あふれるリアルさ」があるからです。

バレエの演目は、ファンタジー要素が強いものが多いという特徴があります。

例えば、くるみ割り人形・白鳥の湖・眠れる森の美女などの有名なバレエ演目は、おとぎ話を元にしてアレンジしています。

当然、ファンタスティックな作品になるでしょう。

しかしその点、ドン・キホーテは話の内容にリアルさがあります。
主人公が村娘であり、ファンタジーの要素が少ないのです。

白鳥の湖や眠れる森の美女のように、王子と姫の話ではありません。
また、ジゼルやシルフィードのように、妖精の話でもありません。

また、登場する場面も、「町」「ジプシーの野営地」「酒場」など、情緒あふれるスペインの景色が想像できます。

あくまでも、村娘の恋の話であり、主人公の世界は私たちにとって比較的身近

また、キトリは普通の活発な女の子なので、衣装や振付が派手でアクロバティックです。

姫や妖精の役のように、おしとやか、もしくは儚いイメージを必要としないからです(ただし第2幕の夢のシーンでは、妖精やキューピットが登場します)。

バレエ作品でありながら、本当にひとつの小説を読んでいるような気持ちになれます。

バレエには珍しい庶民的なステージ作りと、スペインらしい賑やかな音楽、技量が試される技の多い振付、そして誰にでもありそうな普通の恋、これらが合わさって作られていることが、この作品の1つ目の魅力です。

バレエには珍しいコメディタッチ

ドン・キホーテ2幕夢の場バレエでは、嫉妬や呪いをくぐり抜けながら恋愛成就を目指す真面目な話がメジャーです。

こうしたバレエ作品の中で、コメディの要素が強いことが、ドン・キホーテの2つ目の魅力です。

主人公が妄想狂で、実在しない姫を探す旅に出たり、風車に跳ねられて意識を失ったりしています。

また、キトリのお父さんがいとも簡単に狂言自殺に騙されるなど、つっこみどころが満載。

笑いの要素が多く、マイム(セリフを表すバレエの動き)や演者の動き、表情などがとても大きくはっきりしている作品です。
非常に分かりやすく、小さな子供やバレエに詳しくない人ものめり込んでしまうのでは。

状況が把握しやすいので、見る側も知識なしに楽しむことができます。
初めて見る人も、話の内容を知らない人も、じゅうぶんに楽しめるでしょう。


キャラクターの個性が強く、面白い!

ドン・キホーテに登場するキャラクターは、とても個性的で面白いです。
ちょっとした役でも、実は細かい背景設定があるものも。

例えば、キトリの父が執拗に結婚をすすめていた「ガマーシュ」。
ガマーシュはお金持ちの貴族ですが、魅力的な男性ではないイメージがついていることが多いです。

キトリとバジルの結婚が決まったあとも、悔し泣きをしながら立ち去る設定になっていたり、潔くあきらめて結婚式に参列する設定になっていたりと、様々です。

わたしはこのガマーシュの立場がいつも気になってしまうので、作品の最後にガマーシュがどうなるのか注目しています。

また、「サンチョ・パンサ」の役も非常にコミカルで面白い役です。
サンチョは小太りの体系で3枚目の役どころ。
サンチョ・パンサとドン・キホーテ町の女の子たちに目隠しをされてからかわれるシーンや、町の人に胴上げされるシーンなど、見どころがいっぱいです。

バレエのステップを踏むことはあまりない役ですが、物語をよりおもしろく見せるための重要人物。

そして、夢の場面に登場する「キューピット」もこの作品に欠かせないキャラクターです。

ブロンドの金髪のかつらをかぶっているのが印象的な役です。
わたしは小学生の頃、本当に憧れました。
とても可愛らしい役なので、子供達には人気の配役なのです。

しかし、わたしは身長がとても大きく、キューピットにふさわしい体型ではなかったので…残念ながら憧れのまま終わりました。

ただ大人になっても、キューピットのバリエーションやキューピットたちの踊りを見るのはとても好きです。

華やかで活気のある1・3幕と幻想的な2幕のコントラスト

ファンタジー要素が少ないと書きましたが、2幕ではドン・キホーテの夢のシーンがあります。

ここは従来のバレエらしく、妖精やキューピット、さらには実在しないドゥルシネア姫が登場し、幻想的なシーンになります。

ここで、ドゥルシネア姫は、キトリが演じます。

つまり、キトリ役のバレリーナは、快活な宿屋の娘と幻想で作られたドゥルシネア姫を踊り分ける必要があるのです。

どちらも高度な技術が必要な振付ですが、曲の雰囲気や衣装に合わせ、2幕は幻想的で落ち着いた踊り方をしなくてはいけません。

観客が、1幕と3幕で見られるダイナミックなバレエと、2幕の幻想的なバレエの両方を楽しめる点は、この作品の見所の1つです。

第2幕の2場は、ドン・キホーテの中でも唯一幻想的で美しさのある場面。
この場面をはさむことで、演目全体がダレることなく観客を魅了できるようになっていると感じています。


跳躍と回転でコーダが構成される3幕のグラン・パ・ド・ドゥ

わたしが「ドン・キホーテ」で1番好きなシーンは、3幕キトリとバジルの結婚式シーンのパ・ド・ドゥです。

ミキコ
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結婚式で1番盛り上がるシーンなので、アップテンポで華やかな音楽が奏でられます。
特にコーダは、アップテンポでテーマのメロディを繰り返していて、聞いているだけでテンションが上がりますよ。

この音楽にふさわしく、赤と黒を基調とした衣装に身を包んだキトリとバジルが、大技を入れながら舞う姿は圧巻です。

最初のパ・ド・ドゥは、滑らかなメロディに沿って、見せ場となるような決めポーズやリフトを入れながら流れていきます。

続く男性ソロは、ほぼ回転と跳躍のパだけで構成される難易度の高い振付です。

次の女性ソロでは、バレエには珍しく小道具(扇子)を用いています。

扇子を開いたり閉じたりしながら、足元では細かいパが連続します。

そのため、軸をしっかりさせ、上半身が引きあがっていないとメリハリのある踊りができません。

素早く次のポーズへと体を持っていける技量が必要になります。

最後のコーダは一番盛り上がる曲です(上記動画2:23〜)。
まずバジルが出てきて、対角線上を跳躍のパで移動します。

そしてプレパレーション(準備)に入り、回転しながらのジャンプで舞台を大きく1周します。

プロの場合、ここで拍手が起きて音楽が止まることがあります。

続いてキトリがセンターに出てきて、32回のグラン・フェッテ・アン・トールナン(以下、グラン・フェッテ)をします。

32回のグラン・フェッテは黒鳥の振付が有名ですが、ドン・キホーテにも同様の回転があります(同2:28〜)。

少しずつテンポが上がる曲に合わせてスピードが上がる回転は、見ていて圧巻です。

グラン・フェッテでは、技量の高い人はダブルを入れて難易度をあげますが、上の動画では、前半になんとトリプルが織り込まれています(※)。

キトリが終わると、バジルが登場。

キトリに負けじと、こちらも回転技を繰り広げます(同2:53〜)。

そしてキトリが回転しながらセンターもしくは反対端まで移動すると、最後に2人でポーズを決めて終了。

冷静に考えると、ほぼ回転と跳躍だけで構成される結婚式ってなかなか無いとですが、曲の良さと圧巻の踊りで圧倒されてしまいますね。

※シンプルなグラン・フェッテでは、トゥで立って1回転すると、パッセの足を横に上げながら1度かかとを床につけ、2回転目に入る時に再度パッセをしながらトゥで立ちます。
難易度を高くする場合、2回転してから足を横に上げ、床にかかとをつけます。
これをダブルと言います。

ダブルの回数が多いほど難易度が上がります。

同様に、3回転してからパッセの足を上げ軸足のかかとを床につけることをトリプルと言います。

キトリの振り付けの特徴

ドン・キホーテでは、振り付けがとにかくダイナミックでかっこいいのも特徴です。

わたしも個人的に、ジャンプや回転技が大好きで、キトリにはずいぶん憧れたものです。

第1幕のキトリのバリエーションでは、高速で連続ピルエットをする「ペアテ」というパが見ものです。

もう1つ、扇子を使ったキトリのバリエーションでは、グラン・バットマンやグラン・パドシャが登場。

足を高くアティチュードして回るアティチュード・ターンなど、高度でダイナミックな技が特徴的です。

先程も紹介しましたが、第3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、グランフェッテ32回転も披露されます。
白鳥の湖黒鳥の32回転の方が注目されがちで、知名度も高いです。
しかし、キトリの32回転の迫力も負けず劣らず。

男性の振り付けもダイナミックで素晴らしいので、まずはグラン・パ・ド・ドゥだけでも見てみるとよいでしょう。


ドン・キホーテのバレエ演目としての特徴

トウシューズを背負うバレリーナドン・キホーテは、出演する人にとっても本当に楽しい作品です。
例えコールドバレエでも、自分が演者の一人であることを実感できるのがこの演目の特徴。

他のバレエ演目のコールドバレエは、他の人と動きをそろえることや、列を乱さないことなど「協調」を重視されることが多いです。

特に、白鳥の湖やジゼルなどはその象徴的作品になります。
コールドバレエは、一糸乱れぬフォーメーションで舞台演出の一部になるのが基本。

しかしドン・キホーテではコールドバレエも、自由に演技します。

わたしは子供の頃に発表会で、ドン・キホーテの「町娘」のコールドバレエをやった経験があります。

第1幕では常に舞台上で作品に加わり、自由に動いたり身振り手振りをしたりします。
その他大勢の役でも、しっかり演技力を発揮し、登場人物のひとりになることができるのです。

扇子やカスタネットなどの小道具を使って、自由に感情表現するのはとても面白かった…!
これを初めて体験したときは、「作品に出るのって本当に楽しい!」と感じました。

実は、マリウス・プティパという振付師が作った演目の中で、このようにコールドバレエが自由な演技をする演目は他にありませんでした。

ドン・キホーテで初めて、それぞれが小芝居を自由にする「演劇」要素の高いバレエができたのです。

出来上がった作品を見て、振付師のプティパは激怒したという話もありますが、このような歴史も改めて知ると実に面白いものです。

まとめ

古典的なバレエの中では異色のドン・キホーテ、いかがでしたでしょうか。

厳かな、儚いバレエも素敵ですが、ドン・キホーテのような派手で主張の強い踊りもまた、見応えがあります。

スパニッシュ独特の衣装や小道具の使い方も興があります。

慌ただしく回る場面展開、美しい夢のシーン、登場人物の個性豊かな表情など、見どころがいっぱい詰まったバレエ演目です。

ドン・キホーテを実際の舞台で見ると、高揚感と幸福感のあふれる楽しい雰囲気に浸ることができます。

見終わっても、興奮がなかなか冷めやらないという感想をもつのではないでしょうか。

バレエ経験のある人なら、今すぐ自分も飛び入り参加したくなるような、そんな演目です。

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2 件のコメント

  • ドンキホーテについては詳しく知らなかったのですが、お話の内容がとても面白くて思わずクスッとしてしまいました。

    バレエ界では珍しいというのも魅力的ですし
    細かい背景設定を知っているのと、知らないとでは面白味が全然違ってきそうですね♪

    • MOCOさんコメントありがとうございます。

      ドン・キホーテばダイナミックな大技がたくさんあるのでありますし、コメディー要素もあるストーリーなので面白いですよ。
      機会がありましたらぜひ一度見てくださいね。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    こんにちは、ミキコです。 小学1年生〜高校2年生までバレエを習っていました。 一旦はやめたものの20代半ばで再開し、今は週3回レッスンを受けています。 バレエの面白さをもっと知ってもらうために、このブログを書いています。