「コッペリア」バレエのあらすじや役、マズルカとチャルダッシュなどを調査




ミキコ
こんにちは、ミキコです。
今日はコッペリアについて解説します。

コッペリアは、1870年パリ・オペラ座で初めて上演されました。
悲劇的な原作にコメディテイストを入れてバレエ作品にしたため、多様な改訂版が作られた奥の深い作品です。

また、ロマンティック・バレエ(*)最後の作品としても注目される作品です。

一体、どんな作品なのか、見てみましょう。

(*)注
ロマンティック・バレエは、ラ・シルフィードやジゼルなどに代表される、ロマン主義思想に基づくバレエです。
妖精や悪魔が登場する幻想的な作風と、膝丈のふんわりしたチュチュが特徴です。

ロマンティック・バレエはパリが中心となって作り上げ、その後バレエの中心はロシアに移動し、クラシック・バレエが確立されます。

登場人物の紹介

物語は、明るい村娘スワニルダと、その恋人・フランツを中心に進みます。

重要な登場人物として、フランツが恋をする人形・コッペリアとその作者・コッペリウス
そして、スワニルダの味方であり、一緒に悪戯もする友人たちが登場します。

あらすじと見どころを解説

バレリーナ

第1幕

ここは、ポーランドにある農村。

村の明るい女の子スワニルダと、青年フランツは恋人同士です。
でも近頃フランツは、スワニルダの向かいの家のベランダで読書をしているコッペリアという女の子が気になっています。

スワニルダの向かいの家には、コッペリウスという変わり者の人形職人が暮らしていました。
実は、コッペリアは、コッペリウス自身が製作したからくり人形です。

しかし、村人たちはその正体を知らず、フランツもコッペリアを普通の女の子だと思いこんでいました。

フランツの浮気心に気付いたスワニルダは、コッペリアに嫉妬し、フランツと喧嘩をしてしまいます。

ある日、街へ向かったコッペリウスは、なんと家の鍵を落っことしてしまうのです。
その鍵を拾ったスワニルダと友人たちは、コッペリウス宅に忍び込むことにしました。

第2幕

コッペリウスの家には、様々な人形たちがぎっしり。
家を探索した、スワニルダ達は、コッペリアもまた人形だったと気づきます

そこへ戻ってきたコッペリウスはカンカン。
怒るコッペリウスを前に皆は逃げていきますが、スワニルダだけはコッペリウスの目を逃れ、部屋の奥に身を潜めます。

同じ頃、騒動を知らないフランツも、コッペリア会おうとコッペリウスの家に忍び込みます。

フランツを見つけたコッペリウスは怒りますが、その時、名案が浮かんだのです。
それは、フランツに眠り薬を飲ませ、寝ている間に彼の命をコッペリアに吹き込むというものでした。

全てを目撃していたスワニルダは、コッペリアを装ってコッペリウスを翻弄します。
この騒がしさにフランツも意識を取り戻します。
コッペリアの真の姿に気付いたフランツは、スワニルダに謝ります。

第3幕

関係を修復したフランツとスワニルダは、結婚を決めました。
今日は村をあげて2人をお祝いするお祭りの日です。

宴が始まる頃、人形を壊されてカンカンに怒ったコッペリウスが怒鳴り込んできました。
しかし、2人の謝罪と村長の言葉でコッペリウスは機嫌を直し、一緒に2人を祝福します。

祝宴も本番となり「時」「曙」「祈り」「仕事」「結婚」「戦い」「平和」と踊りが続き、お祝いモードのまま、幕が閉じます。

見どころはどこ?

後で版の違いでお話しするように、演出家によるストーリーの違いは、コッペリアを比較するときに1つのポイントとなります。

コッペリアが人形であることが分かった後、結末に向かって各登場人物がどんな気持ちで、どう振る舞うのかは大きな見どころです。

また、1作品だけを見て楽しむ場合は、見どころが2箇所あります。
1つ目は、1幕に見られるチャルダッシュなどの民族舞踊です。

さらに版によっては、2幕でスワニルダ達がコッペリウスの家に侵入した際、人形を動かすと様々な国の踊りが展開されることがあります。
こうした国ごとの特色を表現した踊りは1つの見どころです。

2つ目は、3幕の祝宴のシーンです。

祝宴というと、例えば「ドン・キホーテ」のように派手なパ・ド・ドゥがあったり、「眠れる森の美女」のように、おとぎ話の主人公たちが出てきたり、
といった、華やかなお祭りではありません。

あくまで、村の儀式、という要素が強く、地味に見えるかもしれません。
しかし、その分、生きることに密着した踊りが丁寧に踊られ、示唆深いものになっています。




全幕の上演時間

公演時間はおよそ90〜100分で、休憩込みで2時間程度です。

例えば、新国立劇場で上演された時は、1幕が45分、2幕が50分、間に休憩が25分でした。

また、パリ・オペラ座のDVDは95分、英国ロイヤルバレエ団のDVDは特典映像つきで103分です。

原作「砂男」と作者ホフマンについて

E.T.A.ホフマンの自画像

画像引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/E.T.A.%E3%83%9B%E3%83%95%E3%83%9E%E3%83%B3

コッペリアはE.T.A.ホフマンの「砂男」という短編小説を元に作られました。
しかし、「砂男」は、コッペリアのようなラブコメではありません。

砂男という伝承上の妖怪を信じ、恐怖にとりつかれた大学生の男の子が、理性を失い精神を蝕まれていくという、少しグロテスクな話です。
※苦手な方のために、あらすじは文末に記載します。

作者のホフマンは、1776年に生まれたドイツの法律家、芸術家です。
音楽、文学、絵画など幅広いジャンルで活躍しましたが、現在ではロマン派文学の奇才と言われています。

彼の作品は、人形ドッペルゲンガーをモチーフに、現実と幻想(妄想)が入り混じる独特の世界観を繰り広げています。

この独特の世界観は、ドイツ、フランス、ロシアなどの作家(例えばドストエフスキーやエドガー・アラン・ポー)たちに大きな影響を与えました。

日本では、夏目漱石の作品で話題にされたり、森鴎外が重要な作品として挙げたりしています。

また、文学界だけではなく、精神科医で精神分析の祖であるジグムント・フロイトも注目していました。
彼は、「不気味なもの」という論文で「砂男」を題材にして「不気味」という感情がどこからくるのか、ということを分析しています。

ホフマンの小説が原作になった舞台は「コッペリア」だけではありません。
オペラ「ホフマン物語」は「砂男」やホフマンの複数の小説を足し合わせて作られました。
またバレエ作品「くるみ割り人形」も、彼の作品が原作です。

【くるみ割り人形(バレエ)のあらすじ】登場人物やバリエーションも紹介

2017.12.03

このように、独自の世界観でサイコティックな世界を描く彼の作品は分野・国を問わず大きな影響を与えました。

民族舞踊マズルカとチャルダッシュについて説明

コッペリアにも、幾つかの民族舞踊が出てきます。
ここでは1幕で登場する、マズルカチャルダッシュについて解説します。

マズルカは、ポーランドの民族舞踊の1つです。
リズムは4分の3拍子を基調とし、2拍目または3拍目にアクセントを持ってきます。

踊りとしては、男女4〜8組のペアで踊られ、足を踏み鳴らすのが特徴です。
コッペリアでは、1幕のオープニングと中盤に登場します。

一方チャルダッシュは、ハンガリーの民族舞踊です。
酒場という意味の言葉から派生した言葉で、兵士が酒場で兵士を募集するときに踊られたという説もあります。

遅めのテンポから始まり、次第にテンポを上げて躍動感が増していく構成で、観客や踊り手のテンションを上げます。
踊りとしては、かかとを打ち鳴らす動きが特徴的です。

コッペリアの多様なストーリー・演出

コッペリアは原作からかなりテイストを変えているため、演出家・振付家に寄っても様々な版が上演されています。
以下では、代表的な幾つかの版を見てみましょう。

サン=レオン版

サン=レオン版は、パリ・オペラ座での初演時の版です。
この時のフランツは、男装で踊られていました。

ヴィノグラードフ版

ヴィノグラードフバンは、キーロフ・バレエ団で上演されている版です。
プティパ版をベースにしていますが、かなり手が加えられています。

最も大きな違いは3幕です。
幸せなはずの結婚式のシーンですが、スワニルダはまだフランツに怒っており、女性陣と男性陣でバトルが始まります。

また最後には、この時のスワニルダも含め、実は本人ではなく人形だったことがわかり、フランツはコッペリウスとスワニルダに騙されます。

その他、1幕でも、スワニルダ達は、コッペリウスの家から逃げずに人形のふりをしたり、フランツがコッペリウスに酒場で酔わされて家に連れてこられます。

ペギー・ヴァン・プラーグ版

オーストラリア・バレエ団で上演されているものです。
シンプルで、1990年上演版がDVDとして広く売られているので、目に触れやすいコッペリアです。

ピーター・ライト版

バーミンガム・バレエ団で上演されており、日本では、スターダンサーズ・バレエ団が上演している版です。
ここでは、3幕でコッペリアに命が吹き込まれ、人間になります。

ローラン・プティ版

こちらは2幕構成で上演されます。
プティ版はやや暗めのストーリー展開で、登場人物も最低限に絞られます。
最も大きな人間関係の違いは、コッペリウスもコッペリアを愛していたことです。

最後はフランツとスワニルダは結婚しますが、その片隅ではコッペリウスが呆然と立ち尽くし、足元にはバラバラに壊れたコッペリアがいるのです。



まとめ

コッペリア、いかがでしたか?
上演回数はあまり多くないかもしれませんが、奥の深い作品です。

DVDで様々な版を見ることが可能なので、ぜひ比較してみてください。

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最後に、「砂男」のあらすじを掲載します。
少しグロテスクなので、苦手な人はご遠慮ください。

おまけ:「砂男」のあらすじ

ナタニエルは、母親たちから小さい頃に聞いた「砂男」に怯えていました。
砂男は、夜寝ない子どものところに来て、目に砂を投げ込み目玉を奪ってしまう妖怪です。

実在しない妖怪ですが、ナタニエル少年は、父の知り合いである不気味な老弁護士・コッペリウスが「砂男」ではないかと疑っていました。
しかし、ある日を境に、コッペリウスはいなくなります。

コッペリウスの訪問中に、ナタニエルのお父さんの書斎で謎の爆発が起こったのです。
その爆発で、ナタニエルのお父さんは死亡、コッペリウスは行方不明になりました。

月日は流れ、大学生になったナタニエルの下宿に、コッペリウスに瓜二つの晴雨計売り・コッポラが現れます。

砂男を思い出したナタニエルは恐怖に怯え、夏休みの帰省中に、恋人のクララと喧嘩してしまいます。
また大学が始まり生活を取り戻した頃、再びコッポラが現れ、ナタニエルに望遠鏡を売っていきました

ナタニエルは、早速望遠鏡で向かいに住む教授の家を覗きました。
そして恋に落ちるのです。
恋の相手は、教授の娘・オリンピアでした。

募る想いを伝えようと、ある日、ナタニエルは教授の家に行きます。
すると、家の中では、教授とコッポラが言い争いをしていました。

ナタニエルは2人の会話から、オリンピアが実は、教授とコッポラが作った自動人形だと知ります。

オリンピアは2人に引っ張られ、ついに壊れ、教授が製作を担当した目玉だけを残し、コッポラはオリンピアを持って行ってしまいます。

やけになった教授は、なんと彼女の目玉をナタニエルに投げつけたのです。
あまりのことにナタニエルは正気を失い、教授を殺そうとしますが、騒ぎを聞きつけた人たちに取り押さえられました。

ナタリエルはクララに看病され、少しずつ正気を取り戻します。
ある日、ナタリエルはクララと市庁舎の塔に登り、そこでコッポラから買った望遠鏡をのぞいてしまいます。

すると、見えたのはクララの目元。
突然現れた目の光景に、ナタリエルは動揺します。
そして、クララを見晴らし台から投げ落とそうとしました。

駆けつけた人たちによりクララは助かりましたが、一方のナタニエルは半狂乱。
金切り声をあげながら、塔から飛び降り、死んでしまいます。
騒ぎを聞きつけ集まり、事態に騒然とする群衆たちの中には、コッポラの姿がありました。







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こんにちは、ミキコです。 小学1年生〜高校2年生までバレエを習っていました。 一旦はやめたものの20代半ばで再開し、今は週3回レッスンを受けています。 バレエの面白さをもっと知ってもらうために、このブログを書いています。