■目次
バレエの軸って何?
軸とは、体の重心軸のこと。
自分の体重がどの線に乗っかっているかということです。
体重移動や重心などの視点ともよく似ています。
レッスン中「軸を意識して!」と注意を受けることもあるのではないでしょうか。
軸とは、体のパーツのどの部分にもあると考えましょう。
各体の部位の中心を、1本のまっすぐな線で結びます。
これが、軸のイメージです。
この軸は決して折れ曲がってはいけません。
バレエで最も重要な軸は、胴体の軸です。
- 食道
- 胃
- 子宮(男性は腸)
この内臓を3つまっすぐな線で結んだイメージを持ちましょう。
例えて言うなら、焼き鳥や串団子です。
中心に1本まっすぐな串が刺さっていますよね。
決して刺さっている肉や団子の位置関係はずれません。
体の軸がぶれているとは、バレエの基本姿勢ができていないということ。
つまり、基本的な状態の引き上げや背中の使い方もできていないということでもあります。
バレエは自分の軸をしっかりと確認し、それを意識しなければ踊れません。
高度な回転技や、ポアントでの踊りなど、高度になればなるほど、軸への意識が必要になり
ます。
そして、軸は体の胴体だけでなく、足・腕・指先・首などすべての体のパーツに存在しています。
これを意識して動くことで、より美しい踊りに繋がるのです。
あなた自身の軸の見つけ方
軸というものは、誰にでも見つけることができます。
初心者だからまだ軸がしっかりしていない、と思ってしまう人もいるかもしれませんが、それは間違いです。
誰にでも体の軸はあるのです!
基本軸レッスン1「パッセ」のキープ
- 鏡に向かってパッセ
- 手をバーや壁から離し、アンナバンに
- 骨盤の位置を正しく保ってキープ
- アテールでできたら、ルルベ・アップでキープ
おそらく、何も考えずにやろうとすると絶対にキープできません。
ルルベ・アップすることすら難しい人もいるでしょう。
しかし、胴体の中心に強い1本の鉄の棒が通っているようなイメージをして、力を入れてみましょう。
かなりバランスがとりやすくなり、ブレにくくなるはずです。
基本軸レッスン2「動き」に負けない軸
[aside type=”boader”]- 5番もしくは1番ポジションから、手はアラスゴンド
- 横にバットマン・タンジュ
- バットマン・ジュテ
- 床につま先をピケ(※)して素早くジュテに戻す
床につま先を指すように一瞬だけつける動き[/aside] 片足にしっかり重心を置き、そのまま足を動かします。
ピケの素早い動きにもブレない、自分の中心軸を意識しましょう。
また、バットマン・ジュテでできたら、グランバットマンやデヴェロッペで、軸足に乗ってバランスを取ってみましょう。
できれば鏡で、自分の胴体や骨盤、おしりの向きなどを見ながらやってみましょう。
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バレエの軸の作り方
軸が上手く作れない人に多い傾向とは?
[aside type=”boader”]- 力が入りすぎている
- 軸足の足裏の意識が弱い
- おしりが開いている
バレエの基本姿勢は、「上から糸で引っ張られるようにする」というのが重要なポイントになっています。
この引っ張られる感覚や、上体の引き上げの意識は軸づくりに非常に関係が深いです。
うまく軸を取れないときは、力を抜いて糸でつられている操り人形をイメージしてみてください。
胸をしっかりと開き、デコルテを上に向けて両肩の高さを合わせます。
お腹やおしりはしっかり引き締めて力をいれますが、その他余計なところに力が入らないように注意しましょう。
力みすぎたり、緊張しすぎたりすると、どこに力を入れたらよいのか分からなくなって混乱してきます。
すると、軸への感覚がより分かりづらくなり、自分の軸を見つけるのに時間がかかってしまいます。
また、片足で立つことが多いバレエでは、軸足の足裏の意識が非常に大切です。
胴体の軸がしっかりしていても、軸足の弱さでバランスを崩してしまうことはよくあります。
地面を押し返すように強く立つイメージを持ちましょう。
つま先だけに力を入れるのではなく、土踏まずやかかとでも地面を感じることが大切。
足の軸も必ず1本に強く伸ばすイメージを持ってください。
さらに、お尻が開いてしまう人も軸を見つけにくく、すぐにバランスを崩します。
例えばパッセやデヴェロッペなどで、足を上げたとき。
上げている足の方向のお尻が、足に引っ張られて外側に開いてしまいます。
こうなると、上半身も斜めに傾いて軸がずれ、重たい頭や腕の方向に重心を取られてしまうのです。
上に伸びあがる練習
「バランスをとろうとろうと必死になればなるほど、バーから全然手が離せない…!」
こんな経験はありませんか?
軸を意識する練習は、やはり体重を1点に集めてバランスをとることが多いでしょう。
このとき、バランスのことを意識するのではなく、上に伸びあがる意識だけ強く持ってみてください。
目線を斜め上方向、そして遠くの方を見るようにイメージします。
頭を少し上に引っ張り、上半身はお腹あたりまでをしっかり引き上げましょう。
この意識をするだけで、あんなに苦手だったバランスが、あっさりとれてしまうことがあります。
そして、その意識をずっと変えずに保つことも重要なポイント。
ピルエットやフェッテなどの高度な技の場合、当然強い軸を必要とします。
その中心軸を変えないことで、より強い慣性が生まれ、多く回転することができます。
また、アラベスクからパンシェに移行するときなども同じです。
最初にアラベスクで作った軸を、一度上に伸びあがって引き上げるイメージを持ちつつ体を前に倒します。
どちらも体は動いていますが、軸は変わりません。
同じ状態を維持するには、より強い筋力と持久力が必要です。
バレエの軸を強くするトレーニング方法を紹介
バレエの軸を鍛えるには、体幹トレーニングがとても有効です。
体幹というのは、体の中心に集まる筋肉のこと。
「1本の軸」に集まる筋肉の総称です。
フロントブリッジ
[aside type=”boader”]
- うつ伏せで寝る
- 上半身を起こし、肘が肩の下あたりにくるよう付く
- つま先を地面につける
- 体を持ち上げる
慣れてきたら、右手と左足を床から離して、バランスをとります。
反対も同じように行います。
決して呼吸を止めずに、しっかり腹式呼吸しながらトレーニングましょう。
- 腹直筋(お腹)
- 腹斜筋(脇腹)
- 脊柱起立筋(背筋)
- 大殿筋(おしり)
バレエでは背骨を軸にして立つのですが、背骨というのは実に弱い存在です。
それをしっかり支える、周囲の筋肉が必要になります。
サイドブリッジ
[aside type=”boader”]
- 横向きに寝る
- 肩肘を付き、体を持ち上げる
- 肩から足までのラインがまっすぐになるようキープ
まっすぐ、1枚の板のようになっていることが重要です。
きついと思ったら、足を折り曲げて膝をついてやってもOK。
無理にこのトレーニング姿勢を実践するより、レベルを落として正しい形でトレーニングすることが大切です。
バレエダンサーは、このような体幹トレーニングやピラティスを取り入れて日々訓練しています。
バランスブロック・ミング
ダンス用品メーカーのチャコットから出ている「バランスブロック・ミング」も、軸を鍛えるトレーニングに最適です。
スポンジのような柔らかい素材でできたブロックに片足で乗り、バランスを取ります。
強く正しい軸の意識がないと、このブロックに乗って体勢をキープすることは難しいでしょう。
プロのダンサーも愛用するグッズなので、トレーニング効果はお墨付きです。
このブロックの上で軸をとることができれば、普通の地面ではもっと余裕のある動きができるようになるでしょう。
軸がぶれてしまうがどうすればいい?
しっかり「軸」を意識しようと人一倍注意して踊っているのに、なぜか軸がぶれてしまう、そんな人は意外に多いもの。
ただ、「軸を作るぞ!」と意気込んでしまうことで、体がカチカチに固まってしまうことも。
軸の作り方に悩めば悩むほど、分からなくなる負のスパイラルに陥っているのかもしれません。
そんなときは、ちょっと視点を変えてみてください。
強く1本で立つ軸というのは「硬い」というイメージをもっていませんか?
しかし、バレエダンサーの方々の踊りを見て「硬い」と思うことはないはずです。
みな、優雅でしなやかな動きをしているはず。
ですから、軸は「柔軟に動く」ということなのです。
移動する体重に沿って、また体の向きに沿って、すぐに対応できる柔らかさが必要だということ。
軸を一つひとつの動作でしっかり動かして、踊りに対応させるという考え方も実は大切です。
軸のブレに悩んで迷ったら、一度軸を強くしようと思うことをやめてみましょう。
そして「のびやかに、リラックスして踊ること」を優先してみましょう。
上に伸びあがる感じや、上体の引き上げについてもう一度意識してみることも大切です。
もちろん頭の隅に、1本の強い線のことを置いておく必要はあります。
バレエでは、どれか一つできていれば、他の動きをカバーできるというものではありません。
なので、軸のことばかり意識すると、今度は他の動きのことを忘れて、体全体の使い方のバランスが悪くなってしまうこともあるのです。
[aside type=”boader”]
- 上体の引き上げ
- 基本姿勢
- 筋力
- 軸
どれか一つ欠けても、どれか一つ秀でていても、上達しません。
全体的にバランスよく意識し、鍛えていくことが大切です。