「ロパートキナ 孤高の白鳥」感想。




「ロパートキナ 孤高の白鳥」はマレーネ・イヨネスコ監督によって、2014年の11月21日に公開されています。

350年の伝統を誇る世界最古のバレエ団の舞台裏に迫る「パリ・オペラ座 夢を継ぐ者たち」や、ひとりの花形スターが引退を決意するまでの2年間を追った「孤高のエトワール」など、イヨネスコ監督は本作品の他にもバレエに纏わる優れたドキュメンタリーを残していますので、合わせて観賞してみて下さい。

ロパートキナ略歴

ウリヤーナ・ロパートキナは1973年にクリミア半島東部の都市・ケルチで生まれて、ペテルブルグへと移り住みました。

地元のバレエ教室で頭角を表し始めたロパートキナは、ロシアの名門バレエ校・国立ワガノワ・バレエ・アカデミーへ入学します。

好成績を収めて卒業した彼女が、創立200年を越えるマリインスキーバレエへの入団が許されたのは1991年のことです。

世界屈指の実力派バレエ団の頂点に立つプリンシプルの座を、ロパートキナは若干22歳にして見事に射止めます。

数多くの難解な課題作にチャレンジしつつ、プライベートではひとり娘のマーシャを授かって幸せいっぱいです。


カメラの前で明かされるロパートキナの素顔

今でこそ国際的な評価も高くトップクラスのバレエダンサーである彼女が、無名時代の知られざる日々についてカメラの前で打ち明けるのでした。

世界最高峰のバレリーナと称えられるようになるまで、幾多の困難を乗り越えてきたウリヤーナ・ロパートキナの素顔が浮かび上がっていきます。

身長175センチメートルとバレリーナとしては若干高めですが、ステージ上で彼女の華やかさを際立たせるのにひと役買っています。

クラシックバレエの伝統をしっかりと守りつつも、斬新なアイデアや現代性を貪欲に取り入れることも忘れません。

機械的で計算された振り付けがこの頃のバレエ界での流行になりますが、昔ながらの情緒豊かな彼女の動きも魅力的です。

ロパートキナ本人へのインタビューばかりではなく、周りの人たちへの綿密なリサーチもしっかりと行われていました。

アニエス・ルスティテュとの交流

パリのオペラ座で活躍したアニエス・ルスティテュは、彼女の奥深い知性と持ち前の無欲さを誉め称えています。

アニエスは拠点をパリに置いて活動を続けているバレエダンサーで、1971年生まれとロパートキナとは同世代です。

国や地域は違えども同じ時代を駆け抜けていくトップバレリーナとしての、お互いへの敬意が伝わってきました。

「この街の誇り」

エルミタージュ美術館で館長を務めている、ミハイル・ピオトロフスキーは「この街の誇り」と称えます。

「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」に代表されるような、数多くのバレエの名作を輩出してきたのがサンクトペテルブルクです。

バレエと美術という一見すると別のジャンルで活躍しているふたりの間にも、不思議な親近感が涌いてきますね。


名門の母校の「ワガノワ・バレエ・アカデミー」

「自分がプロのバレリーナになるとは思わなかった」という、意外なほど控え目なセリフから人生を振り返ります。

母校のワガノワ・バレエ・アカデミーを訪れたロパートキナが、入学当初に抱いていた不安について打ち明けていきます。

この学校の卒業生で1番の有名人と言えば、旧ソ連出身で亡命後にパリ・オペラ座の芸術監督に就任したルドルフ・ヌレエフです。

走行中のシベリア鉄道の車内で生まれたという逸話は、クロード・ルルーシュ監督の「愛と哀しみのボレロ」でもお馴染みですね。

他にもヴァーツラフ・ニジンスキーからアンナ・パヴロワまで、そうそうたる先輩の顔触れから受けるプレッシャーは並大抵のものではありません。

次から次へと講師から与えられる課題を、「登るべき山」と例えたロパートキナの思い出話が印象深かったです。

目の前に聳え立つ幾つもの山を越えた先に、ロパートキナが感じた達成感と壮大な風景が思い浮かんできませんか?

出産後もパーフェクトな踊りを目指して

マリインスキー・バレエ団に所属していた時にめぐり逢ったひとりのコーチの存在が、今でもロパートキナの大きな支えになっています。

ほとんどのバレリーナが出産後には引退を選んでいく中で、彼女が現役を続けていられるのはこのコーチのお陰です。

プロとしてのパーフェクトなスタイルを維持するためには、自らの肉体に対して厳ハードなトレーニングを課して。

精神的にも浮き沈みが激しい時期を乗り越えるためには、ひとりで抱えこまずに多くの人と緩やかな繋がりを保って。

いま現在でも子育てと平行しながら、第一線で躍り続けているロパートキナの姿には多くの働くママたちが勇気の貰えるでしょう。

「全てが神様のご加護」と最後までその謙虚な姿勢が崩れることはなく、素敵な笑顔を絶やすこともありません。

バレエに興味がある方たちだけでなく、結婚や出産を迎えて人生の帰路に立っている女性の皆さんは是非みて下さい。

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ABOUTこの記事をかいた人

こんにちは、ミキコです。 小学1年生〜高校2年生までバレエを習っていました。 一旦はやめたものの20代半ばで再開し、今は週3回レッスンを受けています。 バレエの面白さをもっと知ってもらうために、このブログを書いています。