アンディオールとは、外側に回す体の使い方のことです。
クラシックバレエでは、脚が内股になることはありません。
全ての動きにおいて、脚は必ず股関節から外側に向きます。
もちろん脚だけでなく、手や腕も必ず外側に絞るアンディオールです。
つまり、アンディオールはバレエの基本のルールということ。
サッカーで手を使ってはいけないのと同じくらい、基礎的で重要なルールです。
■目次
アンディオールのバレエ用語の意味
[voice icon=”http://ballet-ambre.com/wp-content/uploads/2017/10/mikiko.jpg” name=”ミキコ” type=”r icon_red”]アンディオールは、フランス語で「外側へ」という意味です。[/voice]アンディオールが開かない!やり方とコツ
基本のやり方
まず、脚は必ず股関節から外側に開くように意識します。
膝やつま先だけを外側に向けるのではなく、必ず足の付け根から開くようにしましょう。
- 足裏の力
- 内転筋の力
- 引き上げる腹筋力
最初に力が加わるのが、足裏の筋肉です。
足裏にしっかり力が入ると、それが内転筋に伝わって脚をきれいに開くことができます。
ふくらはぎや太ももには、力を加えてはいけません。
体を支えているのは、ふくらはぎや太ももなどの、脚の大きな筋肉だと勘違いされやすいです。
しかし、ふくらはぎも太ももの筋肉も筋力は大きいですが、バラバラでつながりがありません。
バレエでの美しい脚の動きを実現しているのは、足裏から内もも、内ももからおしりが1つのラインになっているためです。
また、この基本的な体の使い方を、どんな時もキープするためには、強い腹筋での引き上げが重要です。
アンディオールのコツ
アンディオールをうまくするコツは、上の3つの意識を全て同時にすることです。
一生懸命意識しているのに、「アンディオールができていない」と注意された経験はありませんか?
それは、上記の3点のどれかが抜けている可能性が高いです。
必死になると、意識が1点集中してしまうことはよくあること。
アンディオールに関しては、3つのうちどれか1つへの意識が欠けてしまうと、正しい形になりません。
「足裏・内もも・腹筋」の3つを覚え、常に3セットで意識するようにしてみましょう。
また、体がこわばって硬くなってしまうと、うまくアンディオールに開きません。
筋肉への意識はとても大切ですが、力が入ってしまうこととは違います。
アンディオールに開くことを「外側に開放する」とも言います。
力を外側に逃がす、という考え方もされます。
つまり、力を入れるのではなく、外側に脚を開きつつリラックス状態にするということです。
意識することと、力むことは別と覚えておきましょう。
アンディオールの鍛え方と練習方法
立ち方の練習
初心者が、いきなりアンディオールを実践しようと思うと必ず苦戦します。
骨盤を急に開いて立とうとすると、おしりの筋肉に負荷がかかりすぎてしまうのです。
徐々に慣れさせるよう、1番ポジションから練習していきましょう。
ただ床に立つだけですが、このときに足裏と内転筋への意識を強めてみます。
そしてその体勢を、腹筋でしっかり持ち上げるイメージで支えます。
それをそのままクロスさせるのが5番、そのままつま先立ちし、ルルベ・アップでのアンディオールへと徐々に練習の幅を広げましょう。
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ルルベ・アップのアンディオール
ルルベ・アップのアンディオールは、なるべく地面との接地面を少なく、高いルルベで立つことが大切です。
ルルベが低いと、ふくらはぎに負担がかかってしまうため、脚が太くなる原因になります。
イメージとしては、1つの線になって「骨」を使って立ちます。
おしりを引き締め、なるべく小さくまとめるイメージを持ってみると、アンディオールしやすいです。
このイメージがつかみにくい場合、逆のパターンで1度立ってみてください。
おしりの力を抜き、腹筋も緩め、かかとも後ろを向けて、バレエっぽくない立ち方をしてみます。
間違った立ち方を1度してみると、どこがバレエらしくないかということが見えてきます。
また、どこに力を入れた方が楽に立てるか、バランスがとりやすいかも分かります。
これはルルベ・アップだけでなく、全てのバレエのポーズで有効です。
わたしは、正しくできているか不安なときは、わざとダメな立ち方をしてみます。
そこからどんどん修正していくと、最終的に理想の形が分かることがあります。
股関節のエクササイズ方法
アンディオールには、股関節の柔軟性がとても大事です。
筋肉への意識ももちろん重要なのですが、そもそも股関節が開かないと、脚を付け根から開くことができません。
レッスンの前はもちろん、お風呂上り、寝る前など積極的にストレッチを取り入れましょう。
股関節の基本ストレッチ
まず床におしりをつけて座り、膝を横に曲げて足の裏を合わせます。
足の裏はしっかり合わせますが、全体的にあぐらのような形になります。
このとき、両ヒザが床につかない人も多いでしょう。
手で両膝を地面の方向に押し、ゆっくり負荷をかけます。
両ヒザが地面につくことを目標に、この座り方を日常生活でも意識してやってみるとよいです。
うつ伏せプリエ
うつ伏せの状態で、膝を左右に開いて曲げます。
(カエルのようなポーズになります。)
なるべく恥骨が床に近くなるよう、ゆっくりと負荷をかけます。
体が徐々に柔らかくなってきたら、脚を開く角度を広くしていきます。
上級者だと、胴体と太ももの角度がそれぞれ90度になるくらい股関節が開きます。
あなたのレベルに応じて、無理のない範囲でやっていきましょう。
日常生活でも、アンディオールを意識して立ってみましょう。
いつでもトレーニングする気持ちで。
プロのバレエダンサーは、歩き方で分かります。
常につま先が外側を向いた、ガニ股だからです。
アンディオールが身にしみついているので、日常生活でも脚が外側に開いています。
浅い1番ポジションなら、どこでもできるので、気が付いたとき意識してみましょう。
また床に座るときは、正座よりあぐらの方が股関節にはよいです。
脚の形もきれいになるので、お行儀が気にならない場所でやってみましょう。
立ち上がるときも、「よっこいしょ」ではなく、内転筋や腹筋で体重を持ち上げるイメージを持ってみましょう。
アンディオールすると痛いです。どこか間違ってますか?
アンディオールすると、股関節や骨盤内に痛みが出るケースが多くあります。
これは、練習の方法や手順が間違っている可能性が高いです。
股関節が硬い人が、いきなり足の付け根から脚を開こうとすると、当然負荷が大きくなります。
体の硬い人は、人一倍のストレッチが必要になります。
レッスン前は少し早めにスタジオに行って、自主的にストレッチしておくとよいでしょう。
また、ストレッチや、バーレッスンでの練習がしっかりできていない、あるいは間違った脚の使い方でやっている可能性もあります。
センターではつかまる場所もなく、体の動かし方も大きくなります。
その分大きな負担がかかるため、正しいウォーミングアップができていないと股関節が痛みやすくなるのです。
さらに、ずっと間違ったアンディオールをし続けていることで、仙腸関節や腰を痛めてしまうケースもあります。
仙腸関節は、骨盤の中でも上半身の体重を受け止める役割を果たす場所なので、疲労がたまりやすい関節です。
正しい手順で、正しい練習をしないと、このような場所に不調をきたす可能性が出てきます。
ケガなく正しいアンディオールができるようになる手順
[aside type=”boader”]- 股関節を柔らかくする
- 筋肉の正しい使い方を覚える
- 実際のレッスンで応用する
形だけ真似たバーレッスンでは、センターに行ってから脚を痛めてしまうことになります。
またそれぞれの骨格によっても、股関節が開きにくい人や、脚が内股気味になっている人と様々です。
自分の脚がアンディオールに向いているのかどうか、観察することも大切です。
それぞれのパでのアンディオールのコツを紹介
パッセのアンディオールのコツ
パッセのアンディオールで最も重要なのは、インナーコアです。
[aside type=”boader”]
- おしりの筋肉
- お腹周りの筋肉
- ルティレした脚の内転筋
脚を開くことを先に考えてしまいがちなのですが、視点を変えて引き上げる力に重点をおいて練習してみましょう。
ただし、パッセのときに太ももの外側の筋肉を使ってはいけません。
必ず内側の内転筋で持ち上げるようにしましょう。
引き上げる力、内側の筋肉でしっかり支えることで、ルティレした脚にかかる負担を「解放」します。
力を開放してあげることで、体の緊張がほぐれてルティレのアンディオール可動域も広がります。
ピケトゥールのアンディオールのコツ
ピケトゥールは、パッセの脚のアンディオールによって回転の良し悪しが決まります。
開きの甘いパッセでは、回転不足になるだけでなく、見た目も悪くスピード感も弱まるので注意しましょう。
[aside type=”boader”]
- 出した脚の方にしっかり「移動」
- パッセをしたら、ルティレの脚を顔と一緒に残す
- パッセのアンディオールをしっかりキープ
しっかり進行方向に移動しながら、パッセのアンディオールをしっかり開き、大きく見せます。
このアンディオールと、腹筋やおしりでの引き上げがしっかりできていれば、自然と回転していきます。
ピルエットのアンディオールのコツ
ピルエットは、小さくコンパクトに回ることで、キレのある美しい回転になります。
ですが、脚や手のアンディオールはしっかり守りましょう。
特に脚は、しっかりアンディオールのパッセを意識することで、コマのような安定した回転に繋がります。
[aside type=”boader”]
- 重心をしっかり前足に置く
- ルティレのアンディオールは回り終わるまで維持する
- おしりを一つに締める
とにかく、アンディオールの脚やそれを支える周辺の筋肉へ意識を変えないことが重要です。
回転の途中で、力が別の場所に入ったり、意識する場所を忘れたりすると、バランスが崩れてしまいます。
アンディオールは焦らずに
いかがでしたか?
アンディオールは、例え上級者でもプロであっても、その使い方に1度は困惑することがあると言います。
いきなり完璧なアンディオールができる人はまずいません。
ですから、焦らずに一つひとつの課題をクリアしていくイメージで練習しましょう。
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