あなたはクラシックバレエのどんなところに魅了されていますか?
わたしは、バレエの優雅でふんわりとした表現と、踊ると身体が浄化されるように感じるところが好きで、大人になってもレッスンを続けています。
特にこの「身体が浄化されるように感じる」は、バレエの動きが軸をしっかり保ったうえで、身体の隅々まで神経を行き届かせ、長く美しく筋肉をストレッチさせているからでしょう。
さて、バレエの動きがそのように感じられるのは、なぜでしょうか?
わたしの答えは、バレエを踊るときの重心が日常生活の身体の重心の位置よりも上に感じるからでしょう。
普段の生活では、人の身体の重心は、お腹や骨盤辺りに意識していますね。
少し意識して姿勢を整えている人だと、それが胃袋辺りに上がるかもしれません。
ですが、バレエを踊るときは、身体の重心は胸のあたりか、さらには頭のてっぺんを意識していることもあります。
それくらい重心を感じる部分が高いので、ジャンプや回転なども軽やかにできます。
そしてその高めの重心を支えているのが、ルルベです。
今回は、そのルルベについて、考えてみましょう。
■目次
バレエのルルベの意味とは?
その言葉の通り、足のかかとがついた状態から背伸びにした状態に「身体全体を引き上げる動作」のことを指します。
またトウシューズを履いているときは、背伸びからさらにポアントへの動作も含みますが、その際はドゥミからポアントへ、という表現の方が多いでしょう。
いずれの場合も、身体の重心を上へ上へと引き上げるイメージが重要なポイントです。
バレエのルルベのやり方は?重心はどこでとる?
正しいルルベのやり方を、ここではバレエシューズを履いている想定で説明しますね。
ルルベを背伸びの状態まで引き上げるときのやり方
まずは、足を1番から5番のいずれかのアテール(足の裏を床につけた状態)のポジションにします。
両手または片手でバーに手を添えると良いでしょう。
身体の重心を上に持ち上げるイメージを持ちながら、かかとから少しずつ引き上げていきます。
足の甲がしっかりと伸び、これ以上引き上げられないという状態まで持ってこられたらルルベの完了です。
バーレッスンでは、このルルベの状態でバランスというような振りがしばしば入りますね。
このルルベがしっかりと高くバランス良く取れていると、とても美しいポーズになります。
さて、このルルベの状態での身体の重心は、いったいどこに?
胸というよりは頭のてっぺん辺りで感じているときも多いでしょうが、それを足のどのあたりに落とすのが良いのでしょうか?
答えは、足の人差し指の付け根辺りになります。
これが親指よりになると、極端なX脚状態になってしまいます。
また、逆に小指よりになると、O脚状態になってしまいます。
いずれの場合も、足首に負担がかかり、また骨盤を締められていない状態になっているので、十分注意しましょう。
ルルベが低いけど、もっと高くルルベアップしたい。練習方法は?
ルルベが低い理由は2つあります。
- 状態を十分引き上げられていない
- 足の甲や指の付け根の柔軟さが足りない
上2つ以外のルルベが低い原因
効果的なストレッチを2つ紹介
- ルルベ状態でグランプリエ
- 床で足先の柔軟体操
ルルベ状態でグランプリエ
両手でバーを持ちます。
できれば、鏡に面したバーの前が良いでしょう。
まずは足を1番から5番の基本のポジションにし、アテールからルルベになります。
そして、ルルベの状態のまま、グランプリエをします。
通常のグランプリエよりももっと深く、あなたが1番下げられるところまで、もう限界という状態まで全身を落としましょう。
そうすると、ルルベしている指先が最大限曲がって、足の甲がストレッチされる状態になります。
このとき「内股になっていないか」鏡で確認しながら行ってください。
内股になってしまう場合は、両足の踵をくっつけるように意識しながら行うと良いでしょう。(※)
この状態をキープしたり、また何度も挑戦することで、徐々に足の甲が伸び、また指の付け根が柔軟になります。
床で足先の柔軟体操
「ルルベ状態でグランプリエ」で足の指先が柔軟になってきたら、次は身体の重みをかけなくても自分の足だけでルルベの状態まで足の甲を伸ばす練習をします。
まず、床に座り足を6番(パラレル。脚を平行にまっすぐ揃える)で前に伸ばします。
床に足の内側がつき、お尻から上は直角に座っている状態です。
そのまま、足を6番のフレックス(かかとは床についたままで、指先が天井を向く状態)にします。
このとき、ふくらはぎのストレッチを感じましょう。
また太ももに力が入っていないことを確認してください。
どうしても太ももに力が入ってしまう場合は、膝を多少ゆるめても良いでしょう。(膝も綺麗に伸びきっている状態が理想ですが、それによって太ももに力が入ってしまうのであれば、ゆるめても良いということです。)
フレックスした足先をゆっくりと伸ばしていきます。
足の甲のストレッチを感じてください。
そして、ドゥミポアント(指の付け根から指先のみフレックス)でキープします。
実はこの状態は、ルルベで立っているときと同じ足の形をしています。
最後にドゥミポアントから指先をまでしっかり伸ばし、ストレッチを完了します。
ここでも最後まで足の甲のストレッチを最大限意識してください。
このストレッチをゆっくりと繰り返すことで、足の筋肉がルルベの形やそこに至るまでの動きを覚えていきます。
6番ポジションでのストレッチに慣れてきたら、1番から5番ポジションでも挑戦してみましょう。
1番ポジションのときは、さらに足のターンアウトも意識しながら行うとより効果が得られます。
両手バーでのストレッチができるようになってきたら、ぜひ片手バーでも挑戦してみてくださいね。
効果的な練習方法を2つ紹介
ストレッチができてきたら、さらに、以下2つも練習してみましょう。
- ルルベ状態で足踏み
- パドブレ
ルルベ状態で足踏み
バーに片手を添えた状態で2番くらいに開いた足幅のルルベになります。
その状態で、左右に軽く揺れながら足踏み(ルルベ踏みとでも言うのでしょうか?)をしながら、状態を上に上にと引き上げていきます。
より高いルルベを目指すイメージです。
2番だけでなく、足を少し前後にずらしてみたり(4番)、大きな足幅の2番の状態でやってみたりと、色々なポジションでルルベの感覚をつかみます。
パドブレ
「ルルベ状態で足踏み」ができるようになってきたら、パドブレの練習をしましょう。
バレエの基本中の基本の動きですが、しっかりと引きあがったルルベで行うのは、実はとても大変です。
「ルルベ状態で足踏み」で練習した引き上げるイメージを忘れずに、様々な方向へパドブレの練習をしてみましょう。
ルルベをしているとふくらはぎがしんどいし、太くなってきた。改善すべきポイントは?
ルルベの状態で、ふくらはぎや太もも(外側)に負担がかかっている人は要注意。
本来力が入るべきではない部分に力が入ってしまうと、足だけでなく全体に余計な力が入ってしまい、身体が硬くなってしまいます。
すぐに改善するよう努力しましょう。
まずは、ルルベのイメージですが、足首でバランスを取ろうとしないでください。
足首で支えようとすると、足首にかなり負担がかかり、また足首を支えているふくらはぎがパンパンになってしまいます。
ふくらはぎが太くなるのもこれが原因です。
足首ではなく、骨盤を引き締めることで身体全体のバランスを支えるイメージを持ちましょう。
骨盤を引き締める!正しいルルベのイメージを得るためのおすすめの練習方法を2つ紹介
- かえるポーズ
- 手で確認する
かえるポーズ
まずは床にうつぶせに寝ます。
そして、かえるのように膝を外側に曲げ、両足のかかとをくっつけるような格好になります。
腕は楽な状態にしましょう。
ひたいの部分にそっと手を添えても良いでしょう。
この時、かかとが床につかなくても大丈夫。
骨盤を意識します。
内側に引き締めるイメージを持ち、かかとをできるだけ床につけるようにします。
難しい方は左右交互にやってみても良いでしょう。
そして、徐々にかえる足を延ばして1番ポジションまで持っていきます。
全行程で、足はお尻からかかとまで、内向きに回転させるようなイメージを持ちながら行います。
最後、1番のポジションまで足が伸びても、かかとが床に付かないときは、無理はせず、左右交互に気持ちよいと感じる程度まで頑張ってみましょう。
ガイコツの模型を用いながら、股関節の可動域や外旋について本格的に解説してるから、わかりやすい(*^^*)
手で確認する
片手でバーなどを持ちながら、ルルベします。
バーを持っていない方の手で、自分の太もも(外もも)を触って、力が入っていないかを確認します。
もし力が入って筋肉がガチガチになっていたら、すぐに力を抜くようにしましょう。
うまく力を抜くことができたら(場合によっては膝が曲がってしまうかもしれませんが、それでも大丈夫)そこから、また骨盤を引き締め、膝を伸ばし、ルルベを高くしていきます。
どのように骨盤や足を使えば、太ももに力を入れずにルルベできるか、あなた自身の身体を研究してみましょう。
まとめ
いかがでしたか?
わたしは高校生くらいまで、骨盤を引き締めることのイメージがなかなかつかめず、よく太ももに力が入ってしまっていたので、足がパンパンになっていました。
骨盤の内側からターンアウトすることができるようになれば、ルルベの引き上げも楽にできるようになるので、ぜひトライしてみてくださいね。