ポールドブラとは、腕の動きのことを指すバレエ用語です。
腕の運びという意味を持っているのですが、実際にバレエで使うポールドブラで大切なことは、腕の形だけではありません。
腕、手首、指先、顔の向き、背中の使い方など、上半身全体を使ってポールドブラを決めます。
■目次
ポールドブラの番号と動きを紹介
ポールドブラには番号が付けられています。
番号の順番に沿って動かしていくと、無駄がなく美しい腕の運びになります。
ポールドブラでは、常に基本の4つの腕の形を保っています。
ですから、まずは基本の4種類の手のポジションを確認しましょう。
[aside type=”boader”]
- アンバー
- アンナバン
- アンオー
- アラスゴンド
アンバー
手を下に下げた状態で、丸みのある形を作ります。
腕を軽く内側に曲げ、両方の中指の指先がまっすぐ向かい合うようにしましょう。
そして、わきの下に空間ができるように、肘を外側にしっかりと張ります。
右手と左手の中指のあいだは、子どものこぶしひとつぶんくらい(5cm程度)の間隔をあけます。
アンナバン
アンバーで作った形をそのまま、上に上げます。
角度は、体に対して垂直よりも少し下にさげた位置。
アンナバンにした腕の上にお盆を乗せても落ちない程度の角度をイメージしてみましょう。
手の位置が上がると、それと同時に肩も上がってしまいやすいです。
肩はしっかり下げ、首の長さを保つように気を付けましょう。
アンオー
アンナバンの手をそのまま上に持ってきます。
角度は、頭の真上ではなく、おでこの位置くらいと覚えておきましょう。
手のひらから指先を、少しだけ内側に向けます。
手のひらでおでこを照らすようなイメージを持ってみてください。
アンオーも、アンナバンと同じように肩が上がってしまいやすい形です。
肩を下げ、しっかり首を伸ばし美しい姿勢をキープしましょう。
アラスゴンド
アンオーの手をそのまま横に開いていきます。
ヒジが胸の位置、指先はウエストの位置くらいのところで止めます。
まっすぐ横に伸ばすのではなく、ヒジを張って指先を少し下に下がった状態にしましょう。
このとき、ヒジを張ることを忘れてしまう人は多いです。
ヒジは決して下に落とさないように注意しましょう。
指先は正面に向けましょう。
アンナバンの形を横に開いても、このアラスゴンドの形になります。
全てのポールドブラの形で共通するポイント
[aside type=”boader”]- 指先はふんわり内側に曲げる
- わきの下から指先までの形は、虹のアーチのような緩やかなカーブ
- ヒジをしっかりと張る
- 肩を下げる
- 胸を開く
踊っている途中で、力が入って手がピンと伸び切ってしまうこともよくあります。
ですが、バレエでは腕や指先が伸び切ってしまう形はあり得ません。
必ずヒジや手首を軽く曲げ、柔らかさを表現します。
ただし、手は長く見せるように。
ヒジを曲げているのに対し、腕を長く見せるというのは矛盾しているようにも感じられるかもしれません。
この「意識」はとても微妙なニュアンスなので難しいですね。
でもポールドブラは、イメージトレーニングと美しく見せる意識で、見栄えはだいぶ変わるものです。
繰り返し練習してみましょう。
2番…アンナバン
3番…アンオー
4番…左手・アンオー、右手・アンナバン
5番…左手・アンオー、右手・アラスゴンド
6番…左手・アンナバン、右手・アラスゴンド
7番…アラスゴンド
そしてまた1番のアンバーに戻ります。
この順番で、なんどでも繰り返し練習してみましょう。
慣れてきたら、逆から順にポールドブラしていくのもよいでしょう。
さらに、3番のアンオーから手を外側にふんわりと開くのが「アロンジェ」になります。
アロンジェも非常によく使うポールドブラですので、覚えておきましょう。
この1~7番の腕のポジションは、様々なパで使われます。
5番の左手がアンオー、右手アラスゴンドの手のポジションは、アティチュードアラベスクのポーズでよく登場します。
トンベやシャッセなどのジャンプにも使われることが多いですね。
また、6番の左手アンナバン、右手アラスゴンドのポジションは、パッセ・パドゥシャ・横移動のシソンヌフェルメなどによく使われます。
[aside type=”warning”]1〜7番という番号は共通ではありません。
バレエの流派や教室の先生によって違いが大きいので注意してください。[/aside]
ポールドブラのときの背中の使い方
ポールドブラでポイントになるのは、背中の肩甲骨への意識です。
肩甲骨って、どんな姿勢をとると浮き出てきますか?
両肩を開いた状態で、しっかり胸を張ります。
肩をしっかり下げて、首を長くします。
その状態で肩甲骨はどうなっているか、確認してみましょう。
肩甲骨がしっかり見えますね。
この背中の使い方は、どのポールドブラの位置でも変わりません。
バレエらしい動きになる、ポールドブラのコツ
ポールドブラというのはとても大事な「手の通り道」を示しています。
例えば、アンバーからアンオーの形に変えるときは、必ずアンナバンを通ります。
必ず通り道があって、近道したりすることはできません。
ひとつのポーズのように思えても、実はいくつものポーズを使いながら目的地に到達するというイメージですね。
このポールドブラの通り道がしっかり身につくと、よりバレエらしい手の動かし方ができるようになります。
ただ、ポールドブラを経由する動きを習得するには、慣れが大きいとも言えます。
普段の生活では、手の位置を変えるのに通り道など意識しませんね。
最短ルートで動かすものです。
慣れるまでは、このポールドブラの手の通り道は難しく感じられるかもしれません。
でも、バレエの動きとしてとても特徴的なポイントであることから、イメージトレーニングの効果も期待できるでしょう。
レッスン動画やバレエ作品のDVDなどを見て、イメージを膨らませることで、手の動かし方が身についてくることもあります。
また、手だけの動きは場所を選ばず練習できるので、お風呂や洗面所などの鏡があるところでは、積極的にポーズをとってみましょう。
ポールドブラのときの顔のつけ方は?
ポールドブラで腕の形が変わると、顔の向きも変わります。
アンバー
顔は軽く外側に向きます。
クロワゼの5番ポジションなら、客席側を向きます。
バーレッスンでの第5ポジションの場合、顔はバーと反対側に向けます。
このとき注意したいのは、あごです。
あごは少しだけ上げ、首の長さを強調することを忘れないようにしましょう。
あごを引きすぎると、力が入ってしまうためにポールドブラの腕の形も崩れます。
アンナバン
アンナバンでは、顔は内側に傾けるようにします。
アンナバンにした手のひらを、のぞき込むようなイメージです。
首を倒しすぎたりすることのないように気を付けましょう。
目線を内側に持ってきて、それに伴って自然に顔の角度が変わる程度と考えてください。
アンオー
アンオーは、アンバーと同じように軽く外側に顔を付けます。
このときも、あごが自然に上向きになるよう意識してください。
アラスゴンド
バーレッスンでは、手をアラスゴンドに保ってレッスンすることが多いですよね。
顔は動かしている足の方向の、やや斜め前を見るような感じにします。
あごも自然な上向きになるよう意識してください。
センターレッスンのアラスゴンドは、顔を外側に向けましょう。
大抵、進行方向の手に顔を向けます。
進行方向の右手がアンナバンなら、顔は内側に。
進行方向左手がアンオーやアロンジェなら、顔は斜め前であごを少し上げます。
最初はとっさに顔の方向を判断するのが難しいですが、これもやはりイメージトレーニングや繰り返しの練習で慣れるものです。
自然と顔が動くようになってくるでしょう。
ポールドブラが美しければ、魅せるバレエが踊れる
テクニックがいくらあっても、ポールドブラが雑な踊りは見ていて面白くありません。
逆に言えば、テクニックはまだまだでも、ポールドブラさえ美しければ、とても見応えのあるバレエになるということです。
さらにポールドブラは、経験を重ねるごとに、どんどん上達していくものです。
経験年数の長いベテランでも、毎回のレッスンでポールドブラは変化しています。
とても奥が深いですが、そのぶん難しさも感じられるかもしれませんね。
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