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「バレリーナ踊り続ける理由」吉田都を読んだ感想を書いてみました。




白を基調とした柔らかい雰囲気のソフトカバーのこの本「バレリーナ 踊り続ける理由」は世界的なバレエダンサーである吉田都さんのエッセイです。

中も文字は大きめで字が詰まり過ぎておらず、吉田都さん自身が撮られた写真も多くあり、優しく丁寧な文章はまるで彼女の演技のように誠実で普段本をあまり読まない方でも読みやすい作りになっています。

吉田都さんは高校2年生の時にローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを獲り、その後英国ロイヤル・バレエスクールに留学。
卒業後はサドラーズ・ロイヤルバレエ団に入り、プリンシパルとなります。

そして英国ロイヤル・バレエ団にプリンシパルとして移籍し、2015年に退団されるまで数々の舞台の主役を務めてこられました。

その演技は確かなテクニックと、まるで身体から奏でられるかのような音楽性から「ロイヤルの至宝」とまで称えられたまさにバレエの頂点を極めた方です。

この本はそんな素晴らしいダンサーである吉田都さんがバレエを始めた9歳からバレエ団退団後までのことを丁寧な筆致で書かれています。

わたしは彼女がバレエを始めたのが9歳であるということをこの本で初めて知ってとても驚きました。

現在の日本では幼少期から皆何かしらの習い事はしていますし、特にピアノやバレエなどの芸事は大体5歳、もっと早ければ3歳くらいから始めているので9歳という年齢で始めた吉田都さんが世界的なバレエダンサーまで登り詰めたのは並々ならぬ努力だったのではと思います。

本の中で彼女はダンサーとして大変だったこと苦労したことは語ってはいます。
しかし、文章の語り口があっさりしているのであまり強く印象には残りにくいのです。

もしかしたら、こういった部分も彼女が本の中で語っていた、難しいことをあっさりこなしているように見せるのがロイヤルスタイルという部分に通じるのでしょうか。



この本は分類としては「エッセイ」ではあるのですが、わたしは女性のための「自己啓発本」でもあると思っています。
というのも、本の中で彼女はたくさんのバレエを通して学んだことを語ってくれています。

その言葉はバレエへの情熱や舞台を作る上での心構えや日々の生活のことなど様々ですが、これらの言葉はバレエに携わっていなくても普段の生活や仕事の中でも活かせる言葉や大切にしなければならないことなどが随所に含まれていました。

例えば、

  • 「理不尽はつきもの。それに心を奪われない」
  • 「大きな力を出したい時こそ、構えない」
  • 「他人と比べることに意味はない」

など、これらの言葉はまさに世界の舞台で美しさを極めた彼女だからこそ説得力を持たせることができるのでしょう。

バレエ団を退団した吉田都さんは現在は日本を拠点としてフリーのダンサーとして活動をしつつ、後進の育成として指導や講演また、ご自身の飛躍のきっかけともなったローザンヌ国際バレエコンクールの審査員なども行っているそうです。

そして2020年には新国立劇場の舞踊部門の芸術監督の就任も決まっています。

吉田都さんは日本のバレエの先駆者の一人として今まで数々の舞台で素敵な演技を見せてくれました。

そしてここ何年かでその素晴らしい先輩を追い掛けるようにたくさんの若手ダンサー達が次々と世界に羽ばたいています。
先日もブルガリアで行われたバルナ国際バレエコンクールで5人もの日本人が最終審査に残り4人が入賞という快挙を得ました。

しかし、ダンサーのレベルは上がっているにも関わらず、日本はバレエを志す方にとって才能を活かす場が整っているとは言い難いのが現状です。
例えば、山岸凉子さんのマンガ「舞姫  テレプシコーラ」を読めば少しは理解できるでしょう。

【舞姫 テレプシコーラのあらすじ】レビューしました。ネタバレあり。

2月 9, 2018
今後も吉田都さんに憧れ、追い掛ける若いダンサーはたくさんいるでしょう。
そうした若い才能が活躍できる場所や機会ができることを望みます。

そして、この本の最後には吉田都さんの手書きでこんな文がしたためられています。

「バレエに限らず 必要なことはたくさんあるけど 毎日コツコツ続けることが何より大切です。「千日の稽古を鍛とし 万日の稽古を練とす」どちらに進めば良いのか分からないなりにもがき苦しみ続けているとふと違う景色が見えてくることがあります。継続は力なりを実感する日々です」

この言葉には剣豪宮本武蔵の五輪書の引用があります。
分野は違えど先の先達に学び、進んで行った先に未來を切り開いた彼女の本をぜひ読んでみてくださいね。

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いろは
吉田都さんの経歴や踊りの魅力については、下の記事に詳しく書いています。
読んでみてくださいね。

吉田都の凄さや魅力、経歴を調べてみました。【究極の舞姫】

8月 23, 2018
ミキコ
吉田都さんのフォトエッセイ集の感想は下の記事です。
篠山紀信さんが撮影した彼女は本当に美しくてハッとしてしまいます。

吉田 都 一瞬の永遠 英国ロイヤルバレエ・プリンシパルのすべてを読んだ感想。

12月 27, 2018



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